第353話 mon ' oncle

リサのおじさんは、勤務前だったので

制服ではなく、ゴルフスラックスにシャツと言う

自然なスタイルで

日焼けした顔を、人懐っこく綻ばせた。


リサに、どことなく似ている。


「おぉ。リすぁっ子"の。がっこでおすぇわになってます。」と

訛った言葉は、よく分からない(笑)けど、親しみが持てる人だと

すぐわかる。



いい人だ。Bluemorrisの人ってみんなそうなんだ?と

めぐは思った。




「お世話になってるのは、あたしの方です」とめぐは

微笑みながら。



こういうひとに、肩肘張る気持にならない。




「じさまが、あんただ事になっての。リサも悲しんでの。

それで、急いで国鉄さ入るって。


Bluemorrisさくれば、入れるっきゃな。」と、リサのおじさんは


相変わらすよくわからない言葉で(笑)。



でも、こっちには来ていないみたい。



「リサは、国鉄に特待生で入って、大学に行けるって

本社で聞かされて喜んでたんです。

それが、ダメになるかもしれないって、ショックで。

おじいちゃんのお墓参りしてくるって、学校休んだんです。」と


めぐは、そのまま伝えた。




おじさんは首ふって「ぃやぃやぁ。今すぐ国鉄さ、なくなる訳でなぃ。

来年くらいは、そのままだべ。

区長?でんゎ貸してけへ。」と


さっきのヘルメットのおじさんに言う。





.....あのおじさん区長さんだったの(笑)とめぐは

笑ってしまいそうになった。



それを見て、おじさんは

詰め所の電話を取りながら笑う。


「おがしぃべ、あん区長、あれでも偉ぃんだぁ。ヘルメットの下も

ヘルメットみたいなあだまでなー。」と


黒電話のダイヤル回しながら、おじさんは笑う、そして


鉄道電話の受話器を持って「あ、総務?わだし。Bluemorris車掌区の。

そうそう。こないだ死んだじさまの息子。姪のリサの事、頼んどいたあれ。

取り消しなんてないべさ。?....そだよねぇ。そう思ってたけど。

うん!ありがと。めんごいね、あんだ、いつでも、じゃ!」と

電話を切ったおじさんは、満面の笑み。



「そっだごとないと。決めた事は、変えません。国鉄はそういうどごです。

汽車がバックしたら困るべさ。」と


にこにこ。



めぐも、つられてにこにこした。




こういうとこなら、いいなぁと

思いながら。




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