第247話  naomi no yume






naomi no yume



その、夢のほんの一瞬の間

めぐは、駅前郵便局の深夜ロビーの椅子に

いた。


もしかしたら、リサと一緒のお友達、

郵便局に勤めたいと言った、Naomiに

会えるかな?なんて思って。


日本人みたいな名前だけど、聖書にある

喜び、と言う意味だと教えられたのは


たしか、ハイスクールに入ったばかりの頃で



しっかりとした性格、真っすぐの黒髪と

エボニー・アイは


でも、東洋人のような雰囲気もあった。


すらっと背が高いので、そのあたりは東洋っぽくないけれど。




そんなナオミは、郵便局に勤めたい、と

言っていて。




公共の仕事、それに意欲があると言う

おもしろい子だった。



やっぱり、ハイスクールを出てすぐに

郵便局に入ったのだろうか?




そんな事を思い出しながら、めぐは

リサの夢から戻ってきた。



夢には時間の概念がないので、ほんの一瞬。


3次元的なこちらの時間では。






郵便局のロビーは、がらんと広く

でも、ひとの温もりがしているので

なんとなく、好ましかった。



インクの匂いがするあたりも、図書館に

似ていて。


でも、ちょっと違うところは

少し埃っぽいところだったり。



でも、暖かくて


深夜に、ひとりでいるには

割と、好ましい場所だった。





秋のはじまりとはいえ


ちょっと、深夜になると涼しかった。




めぐは、郵便局の中を

伺いながら


少し、うとうととした。




24時間空いている窓口なので、朝まで

ここにいても、別に

大丈夫なような

気もした。





そんな、安堵感もあって

めぐは、少し眠ってしまった。





まどろみの中で、誰かがめぐを

呼んでいる声を聞く。



それは、よく言われるように

霧の中の笛のような、そういうものであったらしい。


らしい、と言うのは

めぐ自身が覚えていなかったから(笑)。





揺り起こされて、めぐが見たのは



郵便局の、緑色の制服で



あたりはもう明るく。






壁の丸い、数字がかわいらしい時計を見ると


7時、を示していた。





「・7時!」



大変、学校行かないと。



と、めぐが飛び起きて。



「あ、夏休みだった」と


ほっとしているめぐを見て、


くすくす笑ってる長身の、長い髪。


黒い瞳の彼女は、ナオミだった。




「びっくりしたー、めぐ!ぜんぜん変わらない。」と



緑の制服の彼女は、めぐが会いたいと思っていたナオミ。




まあ、変わらないと言うか(笑)

そのままだから当然だ。




めぐも、21歳の彼女に再会したような気持ちになった(笑)。





「どうしたの?こんなとこで。夜遊び?」なんて

ナオミは、意味ありげに視線(笑)




そんな訳ないよね。と、ナオミは笑い



「図書館、頑張ってるのね」と。




そういうところを見ると、めぐは21歳に

なっても

図書館にいるらしい(笑)と


めぐは思った。

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