第241話  morning dance




morning dance



夢は、続く。


わんこのさむくんは、息を整えながら

砂浜に立ち止まる。



しっかりと、砂を踏み締める

逞しい足は、頼もしい。



若い犬なのだけれど、どこか

風格があって、紳士だ。



安心できるな、って


めぐは、大きなさむくんに沿って。

すりすりしたくなった。




めぐ自身も、なぜか

数年前の自分になっていた。


中学生くらいの背丈かな、なんて

めぐ自身が思うあたりが

夢は面白い。



時間の概念が無いのだ。




めぐは、しゃがんで

さむくんに、すりすりした。



さむくんの、生きている証、拍動が聞こえる。



それもまた、音楽的な4拍子のようだった。



かけっこのとき、3拍子。




そんなふうに、音楽は

自然を模倣して作られている。





めぐの心に、自然に音楽が生まれる。





それもまた、夢、たのしい夢。






立ち止まったさむくんの視線の先には




天国に行ったおじいちゃんが、


にこにこして、歩いて来ている。





でも、めぐが幼い頃のような

矍鑠たる壮年の、おじいちゃんだった。




まだ、おじいちゃんと呼ぶには

かわいそうなくらい、若々しいおじいちゃんは


めぐをとても可愛がってくれた。





時系列が合わないのだけれど(笑)。



夢には、時間の概念がないし


天国もそうらしい。





心には年齢がないから


見たいように、見える。



めぐが、好きなおじいちゃんの姿で

見えるのだ。



さむくんの心も、いつまでも

若々しかったのだろう。






.....ここが、天国なの?



と、めぐは

あたりを見回したけれども。




べつに、変わりない岬。
















そのあたりで、夢から醒めて。


めぐは、微睡んでいる。




ふわふわ、のんびり。

いい気持ち。




また、夢の世界に行きたいな。



そんな事を思いながら、朝を迎える。

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