第231話  生まれ変わり



生まれ変わり



めぐはふと思う。



「あの坊やが、おばあちゃんの言うように

誰かの生まれ変わりだったら?」


そして、老犬さむの

生まれ変わりだったりしたら。






そんなことは、ある訳ないけれど

もし、そうだったら


さむは、坊やに生まれ変わって

めぐや、ルーフィたちに

会いに来たのかもしれない。




そんなふうに思うと、図書館に

どうして現れたのか、なんて事も

意味があるような、そんな

気もしてきたり。




それは、空想。



でも、そんなふうに

生まれ変わっって、生きてくれたら


いいのに。




そう思う事もある。



優しかったおじいちゃん。



天国から、誰がになって

帰って来てくれたら。




いいのに。





なんとなく、似ている人とか

どこかで会った事のあるような気がする人ってあるけれど



生まれ変わりの人だったりして。





めぐは、そんなふうに思ったり。


にゃごのように、元々人間で悪魔くんになって。



それで、にゃんこに生まれ変わったりする、

そんな人もいるくらいだから



生まれ変わって、誰かになっている

そういう人もいるんだろう。




気づかないだけで、めぐや

ルーフィ、Megも

誰かの生まれ変わりかもしれない。





「そんなのがわかったら、すごいな」めぐは

思う。


ちょっと怖いかもしれないけど(笑)。





めぐやルーフィたちに、前世の因縁があったりしたら



ちょっと。(笑)





めぐは、老犬さむの

住んでいたあの、岬に家に

行ってみたくなった。



そういえば、モペッドに乗って

ルーフィさんと帰ってきたんだった。



なんだか、遠い日の思い出みたい。




ほんの少し前の事なのに。







そう、めぐは思う。



それはたぶん、恋が終わってしまったので

希みがあった、その夏休みの前の日が


とても遠い日のような、そんな気がするのだろう。






めぐは、その過ぎた日の思い出と

恋の記憶、それと

さむの死を重ねて考えていたりした。




イメージ、悲しい事。



そんな連想だけれども


気持ちは、記憶されているので



悲しい気持ちで見聞きしたものは

「悲しい」感覚でいると

連想される。




仕掛けは単純で、ひとの記憶には

それぞれの感情に見合う、スイッチがついていて



それが、人間では

ケミカル、化学物質でスイッチされている。



神経内分泌、と言う仕掛けなので



例えば、ある物質が足りなくなると


憂鬱な気持ちが続いたり。




その反対に、いつも爽快な気持ちが続いたり。




そういう事も、スイッチで起きている。









それなので、いまのめぐは


悲しい、スイッチが


入ってしまったみたいだった。



live,life



「おばあちゃん、あたし

さむくんのお家へ行って来たい。」と

めぐは、おばあちゃんに包まれながら


そう言った。





「はい、いっといで。めぐは、いい子だね。」と

おばあちゃんに

髪を撫でてもらうと


悲しいきもちは、どこかに消えた。




ずっと前にも、そんなことがあったような気がすると

めぐは思う。



幼い頃も、おばあちゃんは



いつも、優しかった。



おじいちゃんも、やさしかった。





お気に入りのおもちゃがこわれちゃった時、は

おじいちゃんが、一生懸命に直してくれたり。


お人形さんの洋服を、おばあちゃんにつくってもらったり。



いつも、撫でてもらうと

つらいことも、なくなっていった。




おじいちゃんが天国に行ったとき

めぐは、最初意味が分からなくて。


どうして動かないんだろう?と思っただけだった。



眠ってるのかな?



そんなふうに思っただけ。



でも、そのうちに

おじいちゃんの姿が見えなくなると、悲しくなった。



「おじいちゃん、どこに行ったの?」と


幼いめぐは、おばあちゃんに尋ねたりした。



おばあちゃんは、黒い服を着ていて「めぐは、いい子ね。」と

なでなでしてくれた。



おばあちゃんは、なぜか淋しそうだった....。




でも。


いまのめぐは、魔法が使えるから



おじいちゃんに会いにも行ける。





いつか、行ってみたいと

思ったりもする。














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