第227話  心とこころ




心とこころ



その日のディナーは、オリジナリティのある

多国籍料理だった。



蕪蒸しのソース、味噌風味。



コンソメふうの、これは和風のだしで蒸した

日本料理。



味噌と、ミートソースのような

不思議に美味しいものであったり。






その他、白身魚の包み焼き。




テンダーロインのステーキ。




冷製パスタのサラダ。





フォワグラ・トリュフソース。




アンチョビ・キャビア。




ボルシチふうスープ。







などなど、いろいろな国ふうの


アレンジが楽しめるメニュー。



作りたてを頂けるのが、何より嬉しい。





それが、いちばんのおもてなしだと


おばあちゃんは、にこにこ。





美味しく食べて貰おうと、テーブルに着いた人を見てから


最後の仕上げをして。



温かいうちに。





豪華なものでなくても、それが

なにより嬉しいと



おばあちゃんは、にこにこ。





食べる人のペースを見ながら、次のお料理を作る。





それも、おもてなし。



沢山のお客様をおもてなしするのは難しいけれど


それは、心に残る事になるかもしれない。






快い思い出。



いつか、思い出して

また訪れたい、そんな風に


思って貰えると




それは、良いサービス。





ホテルもエンターテイメント、そんなふうに

思っているのだろうか



館長さんの人柄を感じたような、

そんな気がしためぐだった。






「あたしは、快い思い出を

誰がに作ってあげる事ができるかしら」蕪蒸しを


さっくりと、ナイフで切りながら




めぐは思う。













ディナーを頂いて、心温まるのは


とても素敵な経験だった。




お腹は、ふつう温まるけど。(笑)







お料理でなくても、何か。



あたしにできる事で、ふだんの生活の中で

優しくできたらなぁ。





そんな事を、めぐは思った。




おもてなしも、優しい気持ち。





シェフは、お金を貰う為に

料理を作っているんじゃなくて。





優しい気持ちを、お料理に込めているんだと

めぐは思う。




その気持ちに触れて、レストランにまた来たいと


思う人が、増えれば

シェフへのお礼、として



結果的に、お金も入ってくるだろうけど


お金の為に働いていたら、気持ちは伝わらない。





もし、お金の為だったら、あつあつの

お料理をみんなに出すのは

人手も掛かるし、面倒だから。



運が悪いと、ぬるいスープが来たりする(笑)。






それはふつうのリゾートだけど。





そういうところより、ここのリゾートは

また来たい、そう思うので




繁盛してるの。





めぐはそう思った。





あたしに、できる事をしてみよう。



supervision by newtrino



あたしにできること.......。

めぐは、考えて。


「やっぱり、まず、坊やの幸せを考えて。」



ルーフィの言うように、坊やの記憶の中に

生まれてからの時刻が、どこかに刻まれている。



そう思って。



お部屋、408号室に戻ってから


おばあちゃんは、また温泉に行くって(笑)。



めぐは、夜中にそっと入ろうと思って(なぜかって、また、サインくださーい!が

来ると困るし)



ひとりで、408号室のリビングに。




ここはスイートだから、お部屋3つ。


そのうちのひとつ。




「あ、家族温泉ついてるんだった」と、めぐは気づく。



そこなら大丈夫。


バルコニーに露天風呂。手前に内湯。


バスルームから出られる。




それもいいかな、と思って。


浴衣に着替えて(なんたって、気分だし)。



バスルームに。




そこで、ちょっと思いつく。



「ルーフィさんがしたみたいに、坊やの映像を見れないかしら。」




それで、坊やと心が通じれば。

どこの時代に飛べばいいか、分かる。





めぐは、浴衣を脱いで。


お風呂に入りながら、お空を見ながら。



坊やの映像を見てみようと。



おーるぬーど(笑)。



誰もみてないと、ひょいひょい。




バスルームの鏡は、上半身しか映らないけれど

でも、自分のぬーど(w)ちょっと気恥ずかしいような。



.....あたしのことを、愛してくれるひと。


それって誰だろう。


右手で、そっと左の胸に触れてみる。



確かに、ここにあたしは居る。





そんな、あたりまえのことを、手のひらで確認してみたりして。



バルコニーへ、とっとこと(w)。



ちょっと、ほんとに恥ずかしくなった。








露天のお風呂は、当然ひとり用だけど

気楽でいい。



お空は真っ暗、お星さまきらきら。




空気が、すこし澄んできたみたい。




水蒸気が減ってきて、星が綺麗に見えると

もうすぐ、秋がくる。





そんな風に、季節の移ろいを感じながら


すこしづつ、楽しく日々は暮れてゆく-----




めぐは、ルーフィがしてみたように


右手で空に円を描いて。





坊やの映像を写してみようと思った。


理論的には難しくない。


いつも、空間移動しているのと同じで


ある範囲の、2次元空間を

別の座標から参照するだけだ。



今回は、同じ時空なので

3次元座標にある空間軸をずらすだけだ。



移動するわけではないので、ニュートリノのような

光速を越える粒子に波動を起こさせて

空間を飛び越えて。


参照先の光場、つまり光の反射で起こる情報、ふつうに見える視界を

こちらに転送するだけ、だ。



たとえば、星は何光年先、と言って

光の速度で何年もかかる距離にあったりするけれど


そこからの光場の情報を、超光速通信で観測すれば

空間を飛び越えたのと同じであるし



相対性理論より、光速を越えれば空間が歪む(e=mc2)であるから


同じ時空間で行えば、それで転送ができる。






そう、理論的にめぐが考えているわけではないけれど(w)

魔法はそんなことを、オートマティックに行ってくれる。



そこが、素晴らしい。





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