第225話  慕情


慕情



つまり、進化生物学的に

その、生命を継承するプログラムに支配されてしまう。


科学的に言える、恋に恋すると言う行動は


そんなところである。




相手がルーフィであった事は


偶然か必然か。




そこに物語を見出だすと


運命、なんて

夢想的で楽しいのだけれども。




めぐは、電話に出る。





おばあちゃんの温もりで


温かくなった受話器の

軽さは


なんとなく、懐かしい。




そういえば、無線でない電話って


しばらくぶりの事だ。







めぐは、ルーフィの声に安堵する。





裸の心を晒してしまったので

少し恥ずかしい気持ちもあったけれど



彼は、その事を覚えていないかのように


平然と言葉を発した。




それは、理路整然と



これまでの推察と、仮説を述べた言葉だった。




坊やは、たぶん過去の世界から



次元の裂け目を落ちてきた存在だから過去に旅しないと。








その言葉を聞いて、めぐは思った。






「過去って、いつごろ?」そうは思った。





その答をルーフィは用意していた。





「イメージで飛ぶのさ。


坊やのいた年代へ飛ぶ、と」






そうすれば、坊やの心へと


その気持ちが伝わる。




記憶には、断片的に時間が刻まれているから

それを感じ取って、その時代に行けると思うよ」





めぐが、魔法の練習をしていた時に

イギリスに飛んでしまったのも


そんな理由によるらしい(笑)。





しかし。






めぐが、ルーフィへの思慕を

持ったままだと




ひょっとすると

ルーフィのいた


イギリスに

また、飛んでしまうかもしれない(笑)と


めぐは思った。




今度は、18世紀のイギリスに。


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