第214話  生物の限界


生物の限界



めぐは、自身の心の歪み

(笑)を

目の当たりにして、恥ずかしく思った。




そして、魔法使いルーフィに

愛されていながら、自分勝手な思い込みで

彼を独占しようと思った事を後悔するのだった。




.....ルーフィさんは、愛してくれていたのに。




めぐの

思い通りに愛してくれないからと言って

恋が終わった、そう思うのは



子供っぽい思い込みだったんだ。




実際のところはわからないけれど

そう、内省しているあたりは

普段のめぐに戻った、そんな感じもある。




恋は、開拓的な行為なので


若い人にとって、すこし常軌を外してしまう

事もあったりするのであるけれど




それは、もちろん

生き物として生き延びる為の、有史以来の

経験がそこに反映されているからだと

進化生物学者は述べるように。



めぐ自身の気持ちではなく、生物として

動かされてしまっているので、それは

仕方ない部分でもある。



振り返ると、坊やの事を

ルーフィに任せて、帰ると言うのも

ちょっと、自分勝手かな?



そんな風にめぐは思い、おばあちゃんに

そう言う。


おばあちゃんは「それは、別にいいのよ。

めぐは、出来る事はしたんだし。

こちらの世界の事は、こちらの世界の人が

調べた方がいい、そんな事もあるの。」



と。




それに....。



ルーフィとMegが、恋人同士だったら

めぐがそこに居ると、かえって気を使わせてしまうし。




そんな風に、めぐも思う。




いままでは、自分が好き、って気持だけで

そんな気遣いはできなかったけど。










そんな訳で、おばあちゃん考案の変装(笑)は


結構便利だった。


顔の形に、3Dの特殊メイクをするようなもの、つまり


いつも0次元モデルにするところを、3次元モデルにする。


そうすると、モデリング時間の間で形が崩れる(w)と言うわけ。


S=v1t+at2/2で得られるSの距離ぶん、ずれるので


つまり、地球の自転速度1700km/hと

公転速度110km/hのベクトル和のぶん、形が崩れて

元の顔とは似なくなる。





そんな、特殊メイクをしても


水着だと結局、生物的なひとの視線は避けられないので


思いっきりスタイルも変形させようか(w)と、めぐは思ったけれど

そこまでして泳ぎたくもないので、結局止めて。




温泉に行ってのんびりする事にして。




「おばあちゃん、一緒に行こうよ」と、今度は邪魔も入らないので

のーんびりできそう。



おばあちゃんも楽しめる。「はいはい」と

にこにこしながら。



おばあちゃんは温泉好きだもの。





丘の上温泉のお風呂は、日替わりなので

きょうは岩風呂。



造形した湯船に自然岩をセメントで止めたものだけれど

それだけでも結構雰囲気は出る。



ふつうのお風呂より、人気があった。



もちろん、混浴じゃないので(w)、こんどは

マジシャン、めぐのファンに煩わされる事もない。



のーんびり、温泉につかっていると


蝉の声、ひぐらし、かな?



高く遠く響く鳴き声は、どこか淋しい響きで



秋が来るのかなぁ、なんて


めぐは思った。



おばあちゃんは、のんびり

湯船につかって、眠っているみたいだ。









のんびりお風呂につかっていると、ちいさな子を連れた

若いお母さんが、めぐを

マジシャン、と発見したらしく

意味ありげな視線で見ているので



「おばあちゃん、出るね」と



めぐは、ちょっと有名税を払わされた気分(笑)



....好きで、イベントに出たんじゃないのに。

坊やのお母さんを探したかっただけなのに。








有名になんかなりたくない。



そんな気持は、以前から一緒で


目立ちたい、そんな気持など

微塵もなかった。




もちろん、人間だから賞賛されるのは嬉しいけど

のんびり休める場所もないのでは、ちょっと疲れる。




....もう、向こうへ帰ろう!。





そう思って、めぐはさっさと服を着て408号室へ戻った。




おばあちゃんが出てきたら、もう帰ろ。




若々しいめぐは、それ故短気なところもある(笑)。



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