第208話 終わった恋

終わった恋



めぐは、おばあちゃんと一緒に

408号室まで

戻る。


ホテルのエントランスが、おおきな

アパレルのお店になっているので

いくつか、水着を持って。



エレベーターに乗れば、そこは

見慣れたホテルの景色。



ちょっと不思議な不連続感。



そこが楽しいのか、このリゾートの

周囲の別荘地から


お買い物に来る人達も多かった。





エレベーターは、でも

泊まり客しか乗れないので


そこまで来ると、静寂が

安心な気持ちを誘う。


めぐは、賑やかなのが


ちょっと苦手だったりもして。



本が好きな人達は、だいたいそうで

本のイメージする世界を楽しむには



3次元の現実は、ちょっとノイズにしか感じられなかったりもした。





おしゃべりな女の子も多いけど


めぐは、そういうタイプでもないから


静かな環境は有り難かった。





408号室に入って、ふたつあるお部屋の、ベッドルームのほうで

めぐは、水着を着てみようとした。




大きな鏡もあるし、和室のほうで

おばあちゃんが生着替え(笑)なので



こっちがいいかな、と

そう思った。





もちろん、4階だから、外からは見えない。



でも、窓にはカーテンを掛けて(笑)

鍵掛けて。




なんとなく、ね。(笑)。





それで、ベッドに着たものを脱いで。





ドレッサーの大きな鏡に


自分の全身を映してみる。





髪は、少し伸びたけど


まだ、短く揃ってて。


首筋もほっそり、撫で肩で


すらりとしているけれど


でも、起伏の少ない(笑)


どっちかと言うと、少女体型。



脚はすらりと、若いお魚のように。




清々しい、と言うに相応しいスタイル。





その、均整の取れたスタイルを

自分で見て、めぐは思う。





.....ルーフィさんは。

こんなわたしを愛せない、のでしょうか?






回想するめぐは、あの時


上空の11次元世界で



心だけになって、この全身を晒した。



なのに、彼は



あたしを愛してくれなかった。





と、めぐは、ふと終わった恋を思うのだった。





あたしって魅力ないのかな?(笑)と


めぐは、人間の女の子らしい気持ちで


そう思う。






でも、それはそうでもなくて。


大切に思うからこそ、保護してあげたいと


魔法使いルーフィは、そう思ったので



めぐが、魅力ない訳ではないのだけれども。







めぐは、まだ少女なので



3つ年上の自分、Megが

大人びて見えて。




その彼女より、自分が幼く思えて


それで、ルーフィが相手にしてくれないのかと



そんなふうに思ったりもした。




でも、それも人間故の事で


生き物として、遺伝子継承をする機能が


そういう焦燥感を生んでいる。





論理的に言うと、内分泌、といって



機能的に、体を調節する働きは

化学物質で情報を伝えている。




その量が、閾値に達すると

機能が動作する。



そんな単純な仕組みなのだけれど


魔法使いは、そういう仕組みによって

恋していない。




遺伝子が必要性ないから、である。





その仕組みの違いのせいなので、めぐが

魅力ない訳では、全くないのだけれども



その、めぐ自身の体の中、記憶の中で起こっている事を



めぐが認識できないだけ、である。



もちろん、ほとんどの人類は

それを認識せず、ただ


心が動くから、行動しているだけ、なので


めぐが劣っている訳では

、全くないのだけれども。



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