第162話 恋はみづいろ・リクルートさん
恋はみづいろ・リクルートさん
しばらく、そのまま
坊やと一緒に、児童図書館にいた
ルーフィと、めぐだった。
クリスタさんは、お仕事、お仕事(笑)。
貸し出しカウンターの仕事をしたり。
返却カウンターの仕事をしたり。
お昼近くになっても、坊やのお母さんは来なかった。
絵本を見て、おとなしくしてる坊やは、にこにこ。
「本が好きなんだね。」と、ルーフィは、のんびり。
めぐはちょっと心配。「このまま、お母さんが来なかったら・・・・。」
ルーフィは楽観的に「そんなことないさ。坊やが、にこにこしてるもの。
いつも、絵本を読んでくれる人がいて。
たまたま、調べ物でもしてるんじゃない?」
そう、めぐの
心配も、根拠のないものだから。
ルーフィみたいに、のんびりと構えていても
結果は同じかもしれない。
お昼のチャイムが、響く。
図書館の、ではなくて
街の、ところどころにある
市民放送のチャイム。
その日は「恋はみづいろ」が
流れていた。
ポール・モーリアさんが
軽音楽にアレンジして、さわやかなサウンドで
ヒットした曲だった。
それは1960年代の話で、ルーフィとMeg、もうひとりのMegは
ここに来る前、向こうの世界で
タイム・スリップ、ほんとうにスリップして(笑)
1977年の、ポール・モーリアさんに出逢ってしまって。
その曲のリプロダクション「恋はみづいろ’77」のアレンジ・デモセッションに
参加したのだった。
そんな事を、ふと、ルーフィは思い出す。
けれども彼の記憶は、断片的なので
そう、4次元の旅を繰り返していると
どこの記憶で、誰の記憶が曖昧になってしまう。
もうひとつ、「どこの時空」と言う座標が加わるから
ふつうの人は「自分の居る世界、記憶の空間、記憶の時間」が
一直線に並んでいるのに
魔法使いは、そういう不思議な記憶を持っているのだ。
ふとした事で、記憶が蘇ったりするけれど、この時みたいに。
結構フクザツで(笑)。魔法使い同士が結婚して
その性質を遺伝的に継承したら
面白い、物語が書けそうな気もする(笑)なんて
ルーフィは思ったりもした。
「紙の本じゃむりかなー」なんて(笑)。
恋はみづいろ、のチャイムは
結構長い。
それが流れている間に、めぐも
いろんなことを思った。
この曲って、もともとは歌だった。
歌詞がついてて。
みづいろの、
空と海みたいな恋人、だけれども
愛し合っても水平線で分かれてて。
それは、越えられない・・・・。そんな歌詞。
なんて、めぐは、ルーフィと自分の
隔たりみたいに思うのだった。
「歌詞がない楽曲だから、ヒットしたのかしら。」なんて
たおやかなメロディだけを聞いて、そう思うめぐ。
その視線の端に・・・・・・どこかで見かけた若い女の子。
「あ、あなたは・・・・!。」と、言い掛けて言葉を収めた。
それは、いつかのリクルートさんだった。
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