ゆきのひとひら と 坊や

第152話  夏休み



夏休み



その次の朝、ルーフィはすこし寝坊をして。


探偵さんが疲れたのかな(笑)。


もう、おひさまが高くのぼって

せみの声が聞こえる頃、


のこのこと、猫のように起きてきた。




それで、遅いブランチをとって。




お母さんと、お話。



「めぐちゃんは、どうしてますか?」




お母さんは、さあ、と、にこにこひとこと。



キッチンを片付けながら。



そんな様子も、どことなくのんびり。



「図書館に行ったのかしら。」と。





そうか。

クリスタさんと一緒にね。




今日、向こうの世界に行くとは

行ってなかったから。



本、好きだもんね。めぐちゃん。






ーーーー








めぐは、その頃

クリスタさんと一緒に図書館。



カウンターで、本を返す人、借りる人。


朝のうちは、なぜか多いので



クリスタさんのお手伝いをして。






その後、こども達へ

絵本を読んであげる、そんなコーナーへ。




クリスタさんが、お歌を歌ってあげて



こども達が喜んでた、あのコーナー。



「ゆきのひとひら」も、もちろんある。



あの、岬の家で

取り替えてきた(笑)あの本だ。




それを手にとって見ると、めぐは

懐かしくなった。



絵本の角は、少し擦れていたりして。



そのあたりも、どことなく思い出。




「いかがなさったの?」と

クリスタさんは、絵本を見ているめぐの背中から。



「いろいろあったな、って。」と

めぐは振り向いて、絵本を手に。



クリスタさんに微笑む。





クリスタさんは「そうですね」、と

微笑んで。




「岬で、どんな事があったのですか?」

と。




詳しく話していなかった。





その時、ちいさな子が「ご本、読んでー。」と


めぐのエプロンをつかむ(笑)ので

めぐは、「ゆきのひとひら」を



読んであげた。





ふかふかのクッションのある

こないだのコーナーで。




「ゆきの、ひとひらさんはね、

おそらから、舞い降りるの。


雲のあいだで、生まれるの。」




と、めぐは、絵本と一緒に


めぐ自身が、絵本の中で見た景色も一緒に。





「おそらの、どのあたり?」と


ちいさな子は、夢見るように。




「ずっと、たかいあたり。」



窓の外の、夏雲さんを見て



「あのくらいかしら。」と


お日さまに照らされて真っ白な

雲へ。


めぐの気持ちも広がる。




絵本の中の、雲のお昼寝は

ふかふかで、のんびりで。




また、行ってみたいな(笑)なんて。






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