第129話  Man and Iron


Man and Iron



「なぜ、にゃごから?」

ルーフィは、オートバイで走りながら


オートバイの魂と話す。



魂は「うん、にゃごは

君たちを心配していて

猫の情報ネットワークに

君達の事を話した。

それで、危機を嗅ぎ付けて。

俺に頼んだって訳さ。

俺は、もともとオートバイ。

にゃご、の前々生、人間だった頃

最期を果たした時のオートバイ、

メイド・イン・ジャパンの

レーシングバイク、RGB500のライバルさ」


ルーフィは「ありがとう。それは、クリスタさんが伝えたの?」




魂は「ああ、にゃごはクリスタさんと

心でつながっているから。

感じ取れたんだろう。それで

俺に、奴のパートナーだった

RGBが協力を求めてきた。

俺は、この世界に居たからね。」

彼、燃料タンクにはYAMAHAとあるからYZR500だろうか

とルーフィは推測した。



名を尋ねたが、彼は「名乗るほどの事はしてねぇよ。俺たちは仲間さ。

困ってる時は助けるもんだ」と

男らしく笑った。



誇らしげに、トップ・ブリッヂにある

音叉のマークを、ルーフィは見る。


職人が、魂を込めたもの。



機械にだって、魂はあるさ。

どんなものだって、心で通じ合えば

答えてくれる。


そういうものさ。




もう、追いついて来ないだろう

警官の銃弾を、ちら、と

振り返り


ギアを3速に上げた。


すでに速度は100を遠く超えている。

前輪が着地した。









「お嬢さん方、あの魔法使いと

どういうご関係ですか?」



と、警官のひとり、私服の男は

柔らかく尋ねた。


さっきの、詰め所。


警官たちは、ルーフィ逮捕に失敗(笑)したので


上司への言い訳に、めぐとクリスタさんを連れ帰るつもりらしい。



司書主任さんも、銃声に

駆け付けてきた。



だが、同じく公務員同士なので

あまり、抗議もできない。


しかし「この子たちは、うちの臨時職員です。もう、長らくアルバイトをしてくれている司書で。身元も確かです。

関係もなにも・・・。」と

やんわりと、逮捕は遺憾と抗議(笑)。」




そうですか、と私服警官は言い

「魔法使いルーフィとの関係は?」

と、尋ねる。めぐは


「うちの来客です。B&Bですから」と、民宿のお客様だと言う事にした。




「あの方が、何をなさったのですか?」とクリスタさんは


意図的に、あの方、と言った。



もちろん、警官に関係を疑われない為に。




「詳しくは言えないが、魔法使いが

政治介入した疑いがあって。

魔法使いを調べている途中だ」と

制服警官のひとりは言った。














オートバイは、白い煙を吐いて

快調に走る。



「このまま、ドライブして帰りたいなぁ。」ルーフィは楽天的だ。




「おいおい、逃亡者だぜ。早いところ自分の世界に戻った方がいいんじゃないか?」と、YZR500は言った。




「どうして僕を追ってる?」と

ルーフィは尋ねた。




首相が、たまたま健康診断を受けて

核磁気共鳴診断を受けた。


その時、ルーフィの仕掛けた魔法の磁気・神経回路操作装置が見つかって。



こんなものを仕掛けたのは、魔法使いに違いない、って



国内中の魔法使いが調べられて。

たまたま、お前のところに来た。




そう、YZRは答えた。




「なんだ、別件逮捕か。嫌疑不十分で釈放だな。」と、ルーフィはわらった。



仕掛けた装置が、誰のものか?


そんなのは、魔法使いじゃないと

わかりっこない。



それなら、捕まっておけば良かった。




そう楽観的にルーフィは思ってると



「そうでもないぜ。後ろ見ろ」と、YZRは促す。




GTーRのパトロールカーだった。





「面倒になるな。捕まると。だいたい、不法入国って言われるだろう。」




YZR500は、飛ばせ、と言った。。


「あんなのは振り切れるさ、俺は、レーシングバイクなんだ」





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