第110話  わんこさーん!






わんこさーん!



当の本人、めぐはと言うと

とりあえず危機は去って、にゃんこもわんこも

優しい気持を持っている、って分かったので


(どうしてわかったか、と言うと

2次元の平面でも音は聞こえるから。

それはもちろん、めぐが3次元の人だからで

音波、音の波は3次元的なもの。


だけれども、平面の2次元に波が当たると

それはエネルギーとして強く感じられる。


それを集音マイクに使うくらいだ。)



それで、のんびりお昼寝をするにしても

いいかげん飽きてしまう。



人間の知性は面白い。



それは、もともと進化の過程で得た性質(生得的、と言う)なので


簡単に言うと、ジャングルのようなところで

襲ってくる敵を見つけるには


その場所のノイズや、見た目の風景、匂い

そんなものに慣れてしまって、敵が来たらその変化を

鋭敏に見つけて、逃げたり戦ったり。


そういう感覚がある生物が、生き延びた。


そんな風に進化生物学では教える。



チャールズ・ダーウィンの言うような比較進化論である。




それなので、平和な時は飽きてしまう。


そういうものだけれども。



自然界の音や風の動き、陽射しなどは

刺激に飽きないような法則性がある


いわゆる1/fゆらぎ理論であるが、比較進化論的には

その刺激を得ると飽きがこない、つまり

敵の侵入に備えていられたので、それに適応した者が

生き延びた、と言う事になるらしい。



ただ、2次元の平面に自然がある筈もないから


めぐは飽きてしまっていた。


それは仕方ない。



どうにか、抜け出したいと思っているところに



老犬さむがやってきて、なにやら作戦を企てているらしい事は

めぐにもわかった。



「わんこさーん!こっちよー!」と言って、めぐは

絵本の中で声を立てたけれど


それを、さむが聞き取ったかどうか・・・・。


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