第82話 10 実らない恋





なので、映写技師さんが想ってしまうと

永遠に実らない恋、いえいえ。転生して、天国に一緒に行けたら

実るかもしれない恋。



そういう恋もいいかもしれない。



ステキかしら。



天国に行くために、いい事を一杯して。



いい人で過ごす事。



それは、難しいかもしれないけれど

恋のためなら、できるかもしれない・・・・なんて思うわたし(笑)。








天使さん、ひとやすみ



「そうそう、休憩時間だわ」とめぐは気づく。


適当に、暇になった時間に

それぞれに、休み時間を取っていたけど


だいたい、午後3時くらいになったりするので

あの、3階のカフェに行って

一休みしたり。


事務所のとなりにある休憩室に入ったりして。


休んでいた。


ほとんど、立ったままの仕事なので

事務系の職種としては、割とハードな

仕事だったりもした。


もっとも、司書になれば

カウンター業務より、管理業務が

増えるので

デスクワークも出てくるのだけど。


めぐは、カウンター業務が好きだったから



このままでもいいと思ってたり

するんだけど。



カウンターに戻ると

主任さんと、あの、親戚の

映写技師さんが、なにか

お話をしていて



「やあ、おつかれさま。

クリスタさん、子供達、喜んでたね。

きれいな歌声だったもんね。」と

主任さんは、まるいお顔でにこにこ。


おはずかしい・・・と

クリスタさんが、俯いて。



「これからも、よろしくね。

めぐちゃんの旅行が済んでも、時々来てね。子供達喜ぶよ」と


司書主任さんは、その先の事まで

考えていて。


すごいな。と

めぐは思ったり。



そんな、先の先まで

考えていなかった(笑)。



「上のね、スカイレストランに

席をとってあるから、休憩をどうぞ。

ふたりで、行ってきて。

それと、あの・・・・こいつがね。

お話したいって言うけど、いいかなぁ」と、司書主任さんは言いにくそうに。



休憩にならないかな(笑)。でも、めぐは元気だ。

そんなの気にしてない。



「サンドイッチもいいですか?」(笑)



主任さんはにこにこして「いいよいいよ、こいつに払わせるから。」と言って

映写技師さんを見た。


映画作家と言っても、あまり

主張の強そうな感じでもない。


どちらかと言えば、地味な感じ、でも

深く考えるタイプみたいで。


ジャズコンボのライブで見た

マリンバのプレイヤーに似ていた。



繊細そうで、あまり

多くを語らないような。


ことばの代わりに、マレットを持って


メロディーを奏でると


それが、彼のことばのような。


そんなプレイヤーだった。



映写技師さんも、そういう人なのだろう。



 ことばは、誰もが持っている。

でも、文化がいろいろあって

音楽や映像、お料理でもいいし。

いろんなものに、心を乗せて作る。



それも、ことばの代わり。


そんなふうに、めぐは思っていたりもした。


そういう事を発見して

なにか、知的になったような、そんな気にもなって(笑)。

楽しく思った。



「はい、わかりました」と、クリスタさんはお返事をして。

めぐと一緒に、上のスカイレストランに。



一番上の階は、展望レストラン。

カフェより、ちょっと高級なんだけど

昼間は、ふつうにコーヒーとか

ココア、とかを頂いたり。


静かなので、のんびりしたい時に

いい感じだったりもした。

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