第55話  温泉女子会


いつもの温泉小屋も、ちょっと3人だと

狭かったりする。


それでも、きょうは最後、なんて思うと

ちょっとさびしかったり。


まあ、おうちに帰っても

あるんだけど、同じの。



クリスタさんとお風呂はいるのは

初めて。

 



この旅先では最後かなー。


また来るかもしれないけど。




「さー、はいろっか。」って、わたしは

お湯のコックを捻って。

からっぽだった、桧風呂に

温泉を流した。


ちょっと、温泉の香り。



「山の香りね」と、わたし。



「いい感じ」と、ねぐ。



「お風呂って、こういうのですか」と

クリスタさん。


言葉は、どことなくイギリスふうの

響きを感じるけど


ルーフィと同郷かしら(笑)。





「そう、こうするの」って、めぐは

女子会だから(笑)


ひょいひょい、と

オールヌード。


クリスタさんは、ちょっとびっくり。





「ああ、ちょっと恥ずかしいけど

でも、赤ちゃんに戻ったみたいで

楽しいでしょ。わたしたちは家族だもん」


と、わたし。



ふつう、この国でも

温泉とかだと、水着着たり。


でも、これはアジアンテイスト。


それに、わたしはめぐの3年後。

クリスタさんは、めぐと一緒に

18年過ごした天使さん。



「みんな姉妹よ」と、めぐもにこにこ。



白い首筋は、細くってとってもきれい。



「そうですね」と

クリスタさんも、さらり、と

オールヌード(笑)。



「きれいだわー」と、めぐ。



「天使さんね、ほんと。絵みたい」と

わたし。




「いえいえ、そんな・・・・」と、クリスタさん。




どちらかと言うと、めぐに近い

清楚な感じ、だけれども

細い足首や肩、なんかは

浮世離れしていて、工芸品みたい。



透き通った肌は水晶みたい。



柔和な、それでいて神々しいほど

美しい。



天使だから、男でも女の子でもないんだけど。


すべての美の原点、そういう感じ。



ちょっと、めぐのボディに似てる。




「並んでみてー」って、わたし。


めぐと並ぶと、クリスタさんは

すこーしだけ、背が高いみたい。



ふんわりした雰囲気なので、小柄に見えるけけど。



「すてきだわー、とっても」と

わたしが言うと



めぐは「おねーさんもステキよ、色っぽいわー」なんて言うので


なんか、おかしくなって

みんなで笑った。



お風呂場で、ヌードで遊んでるって

子供に戻ったみたいで、楽しくて。



旅行の最後の夜なんて、

思いもしなかったけど。



そうだったっけ。



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