第41話 魔法陣と星占い



その日曜日は、結構忙しかっのだけど

めぐは、元気いっぱい。

にこにこしながら、返却カウンター、貸出カウンター、図書整理と

頑張った。


そんなに頑張らなくてもいいのだけど

若さ故、である。


返却図書の中に、星占いの本が

あったりした。


「占いねー。」


クラスメイトが、時々

占い雑誌を見ていたりしたのを

一緒に見たくらいで、それほど

気にした事もなかった。



でも、面白いかも。


夕方で、ひとの少なくなった書架で


めぐは、その

至って真面目な本に、ちょっと興味を持った。







わたしは、書架でめぐを見かけて、声を掛けた。


「ごくろうさま」。



めぐは、にっこりして星占いの本、ホロスコープ、と言う

割りと専門的なものを見ていたので



....神秘に惹かれるのは、どことなく.....。

封印してしまった、めぐ自身の能力者としての才能が

どこか、呼んでいるんじゃないかしら?


などとも思った。



もしかすると、ルーフィに恋してた事も、忘れていないのかも。



そんな風にも思って。



...強敵、再登場(笑)。



あ、でも。


今は、もう...。


私達が元の世界に戻れば、めぐとの接点も無くなる。



でも、帰る術はまだ、見つかっていないんだった。




来るとき、自然に飛んできたので

帰りたい、と思えば自然に戻れると思うけど。


今、帰りたいとわたしは思っていないのかもしれない。




「わたし、ちょっと興味あるんです。星の動きで推理するって

なんとなく、不思議で」と、めぐは

楽しそうに言う。



「結構、理系よね、それって」と、わたし。




「うん」と、背後で静かに囁いたのは、ルーフィだった。



「ああ!そうだ。ルーフィさんに教えてもらえばいいんだ。

魔法使いさんだったら、詳しいでしょ?」と、めぐは

楽しそう。



そういう風に、アクティブなところはちょっと、愛らしい。

前から、親しいわたしたちには見せていた表情だったけど

今は、自然にそう振舞えるようになって。


so,cute.


そう、ルーフィも思っている事だろう。



これから、いろんなステキな出会いがあるんだろうな。





神秘と科学



「星の運行は神秘だね」と、ルーフィは言った。


その進行に沿って、時間が定められている、とも。

その、物理的な時間は、例えば

待ち合わせに使ったり、仕事の時間を決めたり。

社会に沿っているものである。


ひとつひとつの星に、それぞれの時間があって。

それを、星の運行として地上から

みていたりする。


けっこう、多次元的である。



地上でも、地球がまわるので

昼と夜があって。


でも、ひとりひとりの記憶の中には過去があったり、未来があったり。

空間があったり。



それは、そのひとだけのもので

外からは見えないけれど、ひとつの世界だ。




神秘的に思えるけれど、科学的には分析ができている。


星占いと理論的類推も、アルゴリズムが違うだけで


考え方は似ている。




「ルーフィさんは、得意ですね、」

と、めぐはにこにこしながら。



「めぐ、覚えてるの?」と、わたしは

気づいて。


神様は、魔物の記憶を消すために

世界の時間を逆転させた。


それで、めぐの記憶も

リセットされたはずだった。



「はい!楽しかったですね。

温泉に行ったり、パン焼いたり。

ルーフィさんがお風呂のぞいたり(笑)」


と、あっけらかんと言う感じは

いままでのめぐにはないものだけど。



・・・・神様は、めぐの、ルーフィとの

思い出を消さなかったのね・・・・



格別、消してしまう必要は

ないのだけれど。



そういえば、幼い記憶と違って

意識されている記憶は、性格への影響はそんなにない。



よく言われるように、傷つきやすい心は

幼い記憶、無意識の影響が大きい。



だから、神様は・・・・



最初から、それを知っていたのだろう。



「なるほどね・・・」



ルーフィも、うなづいた。



ここの神様も、なかなかたいしたひとだわ(笑)



星占いと科学



星の動きで、その日いい事がある、とか

気をつけること、がわかる。


それも、空想的で楽しいと

めぐは思ったり。



それは、生まれた時の星の配置と

その日の、星の位置が


どのくらい似てるか?


それを、分類にしたものなので


幾何学的なもの、で


コンピュータでプログラムを作れたりする。



結局、時間の経過に沿って星は動いているから、で



生まれた瞬間に近い星の配置の時に、その人は

能力を発揮する。


そんな神秘。



神様に出会う夜は、いつも満月だとか。



そういう、不思議なめぐり合わせ。



めぐは、その、星占いの本を

図書館から借りていった。




あまり、借りて帰る事は

そういえば無かった。


毎日図書館に来ていると

借りなくても、よかったりして(笑)



でも、その本は

星の運行表が書いてあったので


それが楽しみで。





「図書館のコンピュータに、占いのプログラムを

作れないかな」


そんな風に、めぐは思って。


学校で、コンピュータの授業があったので

なんとなく、作り方は知っていた。



星の運行表を、全部、縦横配列にして。


日時に沿って、検索させればいいだけ、だ。



生まれた場所、時間。


それに沿って、星の配置、角度を

計算させるだけで



吉凶は、角度で計算するので


結局は、全部が計算。



「でも、大変そう(w)」



とか思った。



「ルーフィさんなら、魔法で作れるのかなぁ」


空間に魔方陣を一瞬で書けるくらいだもの。




........魔方陣、って天球図に似てる。



めぐは、ふと、そんな事を思った。



ルーフィの使う魔法は、至極科学的なものなので

座標をそれで示しているのだけど


それを魔方陣、と

めぐが思っているのだけ、だ。





神秘のように見えるけれど、根拠は科学なのかも。



めぐは、そんな風に空想しながら

星占いの本を読んでいた。



それも、楽しいひととき。



夜は、短い。



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