第22話 どうやって




私達は、屋上から1階へ降りて。

めぐは、主任さんに「IDカードをお渡しできました」と。



主任さんは、まんまるで、ふくよかで。

ちょっと、編集長さんに似ている。


「そうか、良かったね。」と、穏やかに笑った。


きょうはウィークディなので、図書館もあまり人はいなくて静か。



時々、児童図書室から

子供達の声が聞こえたりするくらい。



図書館は静かにするところだけど

子供達では、仕方ない。


この図書館が新築されるまでは


川沿いに、古い図書館があって。



児童図書館は、別の建物だった。



どちらも、地域の銀行家の方が寄贈されたものだった。



その頃の銀行、は

国が保護していたので

安定感抜群(笑)で


利益をそうして、地域に返しているような、そういう存在だった。



貯金をしてくれる人の

お金を預かって。


仕事をする人に貸して。


利子で、地域に豊かさを齎した。




それを、横取りしようとしたのも

ほかの国の、欲だった。



この国の法律で守られていた銀行。


その、護る事が出来なくなるようにした。



それから、この国の豊かさは

外国人に持ち出されたし


この国の政府関係者は、外国人の手先になって

その、お金を山分けにしてもらうように

外国の投資会社に、政治家の親類などを送り込んで

それで、分け前を給料の形にして貰っていた。


法律に触れないように、国のお金を私物化していたのと同じだ。



それが「悪」と言うのなら

悪魔くんたちの方が余程善、だ(笑)


それは、それまでこの国の人が働いて得たもの、だからだ。



それも、「欲」と言う目の前にないもの、に

目の前の環境を合わせようとする、奇妙な行動のせい。


その人の頭の中の時空が歪んでいるのだ。



それを直す、と言う仕事は

魔法とて困難であるかもしれない、が


とりあえず、ルーフィはそれを行って


天使さん、それとめぐ、の

命を救おうと考えている。







おさな子のように



児童図書室で、子供の叫び声が上がったので

めぐは、ちょっと様子を見に行った。


気になっただけで(笑)でも、そういうものだ。


児童心理を学んだ係員が、そこにいるから

行かなくてもいいんだけど。



とっとこ、とっとこ。



様子を見ると、絵本を取り合っている(笑)



子供ってそういうものだけど


赤ちゃんで生まれて、夢の中のような

イメージから、

自分が誰で、

ここがどこで。


そういうもの、3次元的な時空に

自分がいると認識するまでは


その、曖昧な時空に皆、生きている。



だから、絵本をほしいと、ふたりで同時に思うと

取り合いになる(笑)。



自分の欲に従っているだけで

お互いに、相手の事など考えないから(笑)。




絵本の取り合いをしているふたりの男の子に

めぐは「どうしたの?」と

にこにこと、しゃがんで話しかけた。



ふたりとも、半分泣いている。


相手が憎いんじゃなくて、絵本が読みたいだけなのだ。




「借りてくの?」と言うと



ふたりとも、うん、と頷く。


男の子は、はっきりしていてかわいいと

めぐは思った。



本のタイトルを見ると、複数蔵書がある本だ。



「ちょっと待っててね」と、めぐは

カウンターのコンピュータで本の在処を調べ


他の一冊は、返却カウンターのカートにある事がわかり



もう一冊をたして、2冊をふたりにそれぞれ、手渡す。



ふたりの男の子は、喜んだ。


ありがとう、と

拙い言葉でめぐ、に伝え



ふたりの、母親たちも笑顔で、ありがとう、と

礼を述べて、貸し出しカウンターへ向かった。




「チャイルドマインダーみたい」と、児童図書室の係りは

めぐの所作を見て、楽しそうに言った。




「いいえ、わたしはなにも,,,,図書係ですから」と

めぐは控えめに微笑んだ。


児童図書の返却は、めぐの担当ではないけれど(笑)



それでも、坊やふたりが

本を好きで居てくれるといいな、と

めぐは思っての事だった。




欲を以て相手とぶつかり合う事を避けるのが

知性であり、情報である。



愛と心



「めぐちゃん、すてき」って

わたしは、めぐをはぐ(笑)したくなっちゃった。



めぐは、にこにこ。何も語らない。



ただ、本が好きなだけ。



そう言った、めぐがとっても愛おしいし

すてきって思った。


「やっぱり、好きって大切ね」と

わたし自身も思う。


気持ちが入ってる、って

音楽の演奏でも言うけど


そういうのって、いいな、って思う。



児童図書室の、チャイルドマインダーは、でも

大人だから


「ほんとは、あれは母親のしつけだけどね」と

当然な事を言う。



そう、確かに。

幼い子は分からないんだから。


他の子と仲良くするように、親同士で

気遣い合うのが、あたりまえ。



でも今は、子供が可愛くないのかな、

なんて思ったりするくらいだったり。



それも、オキシトシンが作用すると

ふつうは、子供に関心が行くもの、なんだけれど。



ただそれは、健康なひとの場合で

今は、心が健康でいられないような

事も多い、この世界なので



防御的だったり、闘争的だったり。


そんな心で居たりすると、子供の事より

日常の関心事、に

気を取られたり。



ちいさな子、ってかわいいのに。


毎日見てると慣れちゃうのかな。



「でもさ、目の前で誰かが命を失うかもしれないって時

助けるでしょ、だいたい」と、ルーフィは言う。


にこにこと。



「それはそうかもしれないけど、自分がそれで死にそうに

なるなら、助けたりはしない、って

その程度の計算はするわ(笑)」って、わたしは正直に言う。


「それが普通だよね」と、ルーフィ。



生き物は、皆

自分の生命が最優先、仲間の命はその次に大事。


それは、動物だった頃からの記憶だろう。





「だから、めぐちゃんと天使さんを、僕は助けたいって思ったのさ。」と、ルーフィ。



「ちょっと力不足かも」なんて、言いながら(笑)





ルーフィの目的



ルーフィの目的は、政治を変える事ではなく

ただ、欲望が過剰な人に潜む悪意を

なくす、と言う事だった。


欲を減らせば、悪魔くんが食べていってくれる(笑)


でも、いずれは

食べ物が無くなるから、悪魔くんは来なくなる。


それで、時空の歪みは減っていって、いずれは

無くなるだろう。



そんな風に考えていた。




この国の政府要人には、クスリが利いたらしく(笑)

少しづつ、世の中は良くなっていくような

そんな感じだった。


「いつまで、クスリが続くかなぁ(笑)」と、ルーフィは

思った。



平和が続くなら、もう、悪魔くんに助けてもらわなくても

人間の欲が増長する事はない。


金銭欲よりも、名誉欲よりも


ひとを愛し、慈しむ事の方が

流行していけば、それでいいのだけれど。



そう、この国で近年、争う事が増えたのは

単なる流行であるのだから。



別に、貧しくとも無欲であれば

苛立つ事もないし、争う事もない。



欲、が増長しなければ。






めぐは、特に目的がある訳では無いけれど

本が好きな人に、本を楽しんで貰う事が好きだった。



お話や、詩。

素晴らしい作品に出会って、感動する時

ひとは、争おうなどと思わない。


そういう世界を知っていれば、良からぬことをして

金銭を得るなど、に関心を持たないはず。



めぐが思っていたわけではないけれど

本を楽しんで貰ったり、よい音楽に親しんでもらう事が

豊かな心を得、争いを好まなくするのは事実である。


それは、ルーフィたちが医学的アプローチで

行っていた事と、似たような作用を

ひとに齎す、と言うことだった。




理想と空想



楽しい、嬉しい、優しい、

そんな気持ちを、音楽を聞くことや

本を読む事で、思い起こせたら


とってもいい事で....。

おすすめの本や、音楽を

いろんな形で紹介していって。


めぐは、図書館の仕事を

楽しく、続けていた。





アルバイトだけど(笑)。




政治家さんたちが、優しい気持ちに

なってくれて


この国は、建国の頃みたいな

活気に満ちてきて。



それはそうで、困ったらお国の人に頼めば

なんとかなる、って


そういう国なら、みんなも

国を大切に思う。


争わなくても、日々の暮らしに困らないなら

争う事もない。



無闇に争いたい人は、ごく少しになっていった。



悪魔くんの出番は減っていったので

自然に、魔界と人間界の境界を

超える悪魔くんも減っていったし


人間界で悪い事をして、魔界に墜ちる人も

少なくなっていった。


ルーフィの所に、魔王からお礼の手紙(笑)

が来たりして

ルーフィがびっくりしていたり。


魔王@mail>


ルーフィ殿

貴兄の働きに感謝いたす。

魔界の住宅事情(笑)も改善した。

これも全て、御尽力の成せる技と

我が輩は考える。


動物界に墜ちる、人間どもの数も減っている様子。


魔界の者としては、関係はないが

喜ばしい事と思っている。


頃合いを見て、魔界から人間界への

次元の扉を閉じる所存でおるが

貴兄のお考えを伺いたい。




「魔王が喜ぶってどんなんだろ」ってルーフィは笑う。



「いつも、怖い顔してるようなイメージがあるけど」って

わたしは

白塗りの、お相撲の中継に出てくる

デーモンさんみたいなのが

神殿の、大理石に囲まれてわっはっは、なんて

映像を思い浮かべた(笑)。



「キミの発想は、なーんとなくテレビに影響されてるね」と

マンガだなぁ、と

ルーフィは笑った。



「だって、いつも見てるんだもん」と

楽しかったドラマとか、映画とか

音楽のライブとか。



そんなのを思い出した。



向こうの世界で、ずーっと

そんな感じのテレビ、見てたっけ。


アルプスの少女ハイジ、とか。



楽しいお話だったっけ。やさしい気持ちになれて。


ハイジは、お友達の為に

病気になっちゃうくらい、優しい子だったんだわ。




そんなお話を見てたから、わたしも

自然とそんな気持ちになるのかなー、なんて(笑)。


いつもじゃないけど。




「そう、みんな優しいのさ、ほんとは。

追いつめられたりして、戦いたくなんてないんだよ。

そのために、みんなが幸せになれるように

社会があるのさ。」と、ルーフィは言った。



(e)笑!



みんなのためになれるってステキよね。


おじいちゃんが見てた、水戸黄門みたい(笑)



「なにそれ」って、ルーフィは笑う。




「えっと、んーと、時代劇のひーろー。」イギリスには

ないんだろうか、そんなの(笑)

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