第43話 神殿都市ファーヴニル(5)
(仕方がない――やるしかないようだ……)
「でも、
僕は三人組に問う。
確か前は――毛皮を身に
(それが今は金属の
「前回はお
その対策よっ!――『オムツ』が剣を振るった。
僕は後方に――ヒョイッ――と飛び
(なるほど! それで金属製の
どうやら、相手は<火>の魔法を
しかし、金属製の
「もしかして、僕が燃やしたから『オムツ』を?」
確か、股間に【ファイヤーボルト】を
「
プッ――僕は失笑する。
「相手は笑わせてくる作戦でち!」
キキッ!――とルキフェ。
「それ、厄介……兄さん、気を付けて」
クスッ――とイルミナ。
「なるほど! 戦いに笑いを組み合わせてくるとは――」
やはり、人間は手強い――僕達は警戒する。
「
誰が
余程、
「えっ、そうなの?」
じゃあ、そっちの包帯アフロの方は?――僕は指差す。
「お
と『オムツ』。確かに、ゼロ距離で【ファイヤーボルト】を当てた気がする。
どうやら、それで『アフロ』になってしまったようだ。
「じゃあ、そっちの『ハゲ』も……」
僕が質問すると、
「いや、こっちは元からだ……」
そう答えた『オムツ』のテンションが、やや下がる。
「なぁんだ、良かった!」
AHAHAHA!――僕達は笑う。
「良くねぇよっ!」
とは『ハゲ』だ。どうやら、こちらも怒らせてしまったようだ。
相手は動きが遅いので、逃げるのも手だろう。
(でも、相手をしないとしつこそうだな……)
「ルキフェは『アフロ』を混乱させて! メルクは『オムツ』に魔法で攻撃!」
イルミナは『ハゲ』の尻を集中攻撃だ!――それぞれ指示を出す。
「
とは『ハゲ』。
イルミナを警戒するも、飛行能力のある彼女を捕らえるのは難しい。
一方で『アフロ』は
「【コンフュージョン】でちっ!」
ルキフェの手から、
それが『アフロ』の顔に
また、動きの遅い『オムツ』には、メルクの作り出した水球が容易に直撃する。
体中がビショビショになり、気持ち悪そうだ。
「わっぷ! このガキッ、
『オムツ』はそう言って、片手で顔を
注意は完全にメルクに行っている。
彼の背後には混乱状態になり、フラフラした『アフロ』が立って居た。
けれど、それに気付いた様子はない。
次の瞬間には、それが『オムツ』の頭に直撃した。
――ズガンッ!
完全に油断していたのだろう。『オムツ』はその場に倒れた。
「痛そうでち……」
ルキフェはそう言って、頭を押さえた。
「いたそー」
メルクも
「兄貴っ!」
と『ハゲ』は声を上げるも、今動くとイルミナに尻を刺されてしまう。
「そうだ!」
そして、盾で尻を
「これなら、攻撃出来ないだろっ!」
「【ウィンドカッター】‼」
僕は新しく覚えた<風>の魔法を『ハゲ』の顔面に直撃させた。
――シュバババッ!
風の
「ぎゃあぁぁぁっ!」
『ハゲ』は慌てて顔を押さえるも、その隙をイルミナが見逃す
――ズブリッ!
『ハゲ』の尻に竹槍が突き刺さる。
「あひゃんっ♥」
顔と尻から血を流し、『ハゲ』はその場に崩れ落ちた。
残るは『アフロ』だけだ。
【ファイヤーボルト】を使ってもいいけれど、MPが
僕は杖で彼の顔を殴ると、正気に戻してやる。
火傷が完治していなかったのか、予想以上のダメージを与えてしまったようだ。
『アフロ』は僕を
「そろそろ逃げないと衛兵が来るよ――」
僕はそう言って倒れている『オムツ』達を指差す。
混乱している間に仲間がやられてしまった事に
包帯をしていたけれど、顔が青くなるのが分かった。
僕はメルクを
「逃げるよ!」
と言って、その場を後にした。
冒険者になってしまった以上、捕まると活動を停止させられる可能性がある。
(もし聞かれても――知らぬ存ぜぬ――を通そう……)
† † †
僕達は<冒険者ギルド>へ着くと、手早く報告を済ませた。
メルク達は新しい服にまだ
(先程の三人組との
しかし、あの三人組の事をどうして忘れていたのだろうか?
どうにも記憶がスッポリと抜け落ちていた。
(多分、ツルギとヨロイに会った
――
(存在感が違う……)
そんな事を考えつつ待っていると、担当の人が<報酬>を持ってきてくれた。
<報酬>といっても、お金ではなく<アイテム>だ。
採取の依頼では
池の調査では<水の石>を一個受け取る。
本来は『水』を収納する事が出来る<アイテム>だ。
しかし、僕達には別の使い道がある。
これがあると<ロリモン>を<水>属性の
メルクを強化するのに必要な<アイテム>だった。
『
僕は加工する
また<プランダークロウ>との戦闘を報告した。
やはり、この辺には出現しない
現状では、他の冒険者にも注意を
その内――調査団を派遣するかも知れない――との事だった。
詳しい状況を聴く事もあるので協力をお願いします――と言われる。
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