第32話 毒蛇の森(4)
「顔が青いよ? メルクの
キバ子に対し――仲良しだね?――と言って僕は
しかし彼女は――ガタガタ――と震えながら、
「そ、そ、そ、そ、そんな訳ないでち!」
と反論する。更に、
「<スライム>でちよ! <スライム>……」
アタチ達の天敵でち!――キバ子は真剣な面持ちで語った。
「ス、<スライム>は――透明になって隠れ
(どうやら、自然界では捕食『する側』と『される側』の関係らしいな……)
そう言われると、メルクがキバ子を――
「悪魔でち! 悪魔の所業でち……」
いい<スライム>など、この世には居ないでち!――とキバ子はメルクを指差し、
僕はそんなメルクの両肩に手を置くと、
「大丈夫だよ! メルクはいい<スライム>だから……ねー」「ねー」
いつものように僕の
愛らしく、首を
しかし――
「あ、悪魔でち! 悪魔の笑みでち……」
とキバ子は腰を抜かした。
「こんなに
僕とメルクは安心させるため、無害をアピールする。
更に――プルプル……私悪いスライムじゃないよ――とアテレコした。
「うにゃ?」
とメルク。しかし、逆効果だったようだ。
「ふ、
ガクガクと
尻餅を
「待つでちよ?(この人間を
キバ子は
やはり、頭を強く
その証拠に、彼女はすっくと立ち上がると、
「あっは~ん♥ うっふ~ん♥ でち!」
急に身体を――クネクネ――とさせ、踊り出した。
(
頭の打ち
「えっと、
僕の疑問に対し、
「バカな! アタチの
とキバ子は
(この世界に『脳神経外科』はあるのだろうか?)
「なっ!
とキバ子。彼女は
どうやら、相当<スライム>に
彼女は視線を僕に戻すと、
「クッ!
そして、
「し、仕方ないでちね! ここは素直に
ちかち、人間!――とキバ子は僕を指差す。
「
出来るだけ、優しく対応するよう心掛ける僕に対し、
「アタチに名前を付けるでち!」
と言い放つ。
「キバ子……」
僕が即答すると、
「そ、そんな名前は嫌でち!」
嫌でち、嫌でち!――と地面というか、木の枝の上を転がる。
「落ちたら危ないよ」
僕は彼女の手を取って立ち上がらせると、シャツの汚れを払う。
そして――
「じゃあ、どんな名前がいいのかな?」
と聞いてみる。すると、
「キキーッ! アタチは闇の
と手で片目を隠すようにポーズを決めた。
漫画やゲームでよく見る『厨二病』というヤツだろう。
僕は少し考えると、
「ルシファー……う~ん、『ルキフェ』でどうかな?」
その提案に、
「クックックッ!
彼女は
気に入った――という事のようだ。
僕には
(変な
† † †
僕達は改めて自己紹介を済ませ、休息を取った。
ルキフェには簡単に、今の状況を説明する。
MPも回復し、『水質調査』も終わったので、残りは『素材探し』だ。
これは<
(ゲームでは特定の
ルキフェが言うには――
(確かに一理ある……)
「こっちでち」
巣がある場所を知っている――と言うので着いて行く。
すると薄暗く、太く立派な木々が立ち並ぶ場所へと
(地面が白くなっているのは、
どうやら、ここで間違いなさそうだ。
「あまり近づくと警戒されるね」
僕の言葉に、
「アタチが飛んで取ってくるでち!」
とルキフェ。
彼女はそう言って――パタパタ――と背中から生えた、小さな翼を羽ばたかせる。
しかし――
「な、
地面から、ちょっと浮いただけだった。
「仕方がないよ」
僕はルキフェの頭を
一方で――クイクイ――とメルクが僕のズボンを引っ張った。
「どうしたんだい? メルク」
僕は屈んで、彼女と視線を合わせる。
「いくぅ!」
と自分を指差すメルク。
「えっと、メルクが行ってくれるのかい?」
僕が確認すると両手を――グッ!――と握り、
それを胸元に持ってくると――コクコク――と
(もしかして、ルキフェと張り合っているのだろうか?)
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