冬の薔薇

冬の庭に薄紅の薔薇

寒空の下健気に咲いて


周りの空気は凍るほど冷たいのに

薔薇だけはほんのり暖かで


吸血鬼の男が囁く

欲しいのか? 取ってきてやろうか?


ええ でも要らない


だって吸血鬼は神聖な薔薇には近付けない

それに あの薔薇は庭に咲いているから良いのだ

摘んでしまえば後は朽ちるだけ


二人でまるで結界が張られたかの様な薔薇の周りを回る

冬の薔薇は美しすぎて

堕ちた二人には手が届かない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る