第94話 残り6話
崩壊された大地。
しかし、シュテイルもまた足場が無いから同時に落ちていく。
「サチちゃんッ!」
小春さんが叫ぶと、死者の群れか、軍勢の中に居たのかは分からないが、サチがその声に反応して小春さんの近くに瞬間移動した。
そしてサチの周囲に十以上の魔法陣が展開される。
「〈光の聖壁〉」
存在しない大地に地点が広がる。
それは光で出来た大地、いや、本来〈光の聖壁〉は攻撃を防御する為のもので、盾の様に使用するモノだ。だがその応用で数百メートル程の壁を敷いて地面の代わりにした。
そして、シュテイルが触れて光の聖壁を書き換えない様に何重にも渡って壁が地面に展開されていた。
「〈遅滞時計〉ッ!」
落下する速度を落とす様に、玄武さんの時間停滞能力が発揮される。
俺や他の人間も時間停滞能力の影響によってゆっくりと時間が流れるが、シュテイルはその時間に触れる事で時間解除と設定を書き換える。
それでもなんとか地面に落下死する事だけは免れた。
光の聖壁に乗る俺たち、マスマンさんは万が一を考えて死者の群を出すのを止めた。
重量制限を考えての行動だった。
「……クインシー」
俺の手に握られているアイテム、彼女のチェーンソー。
これは、あのシュテイルの持つ〈白の黒衣〉を貫通出来る代物だ。
本来、職業制限によって装備は不可能だ。しかし、彼女が自分を犠牲にして俺と契約した。契約したアイテムならば、契約者の能力として認識されてアイテムを使用する事が出来る。
「片腕、吹き飛んでおる、回復出来る者はおるか?」
そう草陰さんが周囲に投げ掛ける。
玄武さんは限界だった。小春さんは万物の眼しかない。
現状、動けるのはサチだけだった。
「〈留遅の雨〉」
頭上に現れる魔法陣。
其処から出てくる水滴が、負傷した部分から出てくる血を止めてくれる。
回復能力ではないが、後少し動いても問題ないだろう。
「ひゅぅははははッ!」
そう叫びながら、ゴッド・エンジェルクイーンが飛び出した。
まだ生きていたのか、そう思った矢先、草陰さんがゴッド・エンジェルクイーンの頭を木刀で割った。それで終わりだった。ゴッド・エンジェルクイーンは倒れる。
「貴様はまだ役割がある、其処で死んでおけ」
そう言いながら草陰さんはスマホを取り出していた。
何をするつもりなのかは分からない、しかし、今は関係ない。
あるのは、目の前に立つシュテイルを倒す事のみ。
クインシーが守ってくれたこの命。そして、俺の役割を全うする為に。
チェーンソーを握り締めて駆ける。目前に迫るシュテイルを倒す為に。
これが、最後の戦いだ。
「」
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