第49話
改めて確認を行う。
職業・〈契約者〉
第一階位職能〈結集〉
スロット1アビリティは〈自動再生・中〉
スロット2アビリティは〈アーマード・オフ〉
〈自動再生・中〉は攻撃を受けた際に電力消耗による肉体治癒を行う。
〈アーマード・オフ〉は発動後自身の耐久性を減らす事でその減らした分の敏捷性を上昇する事が出来るアビリティ。
契約者の能力によってコスト無しで使役出来る召喚獣が四体。
〈突進ゴブリン〉
〈扉の幽霊〉
〈灰色群狼〉
〈サンド人形〉
これが俺のステータス構成だ。
玄武さんも色々とアビリティなどを変更していて、〈剣の王〉に挑める様なアビリティ構成にしている。
「……良し、じゃあ行きましょうか」
そうして俺、玄武さん、クインシー、イアネルを引き連れて外に出ようとした時。
「えと、あの……遊飛、さん。えぇと、この子……」
小春さんが近くに居たサチを見る。
サチは使えない。自分が一体どの様な存在であるかすら理解してないのだ。
それに彼女を戦場に出してしまえば、集中力が散漫として思った様なパフォーマンスを発揮する事は出来ないだろう。
「二人は留守番でお願いします」
彼女たちにそう告げた。
しかし、それでも小春さんは食い下がって来る。
「あの、この子、……アビリティ、を。えぇと。なんて言えば良いんだろ……」
「遊飛。そろそろ爺さんがかち合ってるかも知れねぇ」
玄武さんの言葉に頷く。
そうだ。既にお爺さんとバルゼが戦っているかも知れない。
早々に援護をしなければ、お爺さんが倒されてしまえば、戦力は大幅にダウンしてしまう。
「良し、じゃあ行こうか。クインシー」
「……はい、旦那様。お気をつけ下さい」
いざとなれば私が貴方を守ります、と。彼女の言葉に嬉しそうな表情を浮かべる俺は、頬を叩いて気付けを行う。
「じゃあ、行きますっ」
そう言って俺は先に、〈楽園の箱庭〉から出ていく。
〈楽園の箱庭〉から〈草陰ダンジョン〉へと顔を出した時。
―――目前に迫るは鋼の切っ先。
あ、刺さる……漠然とそう思っていた俺。
しかし、それは刺さる事無く、叩き付ける様な音が響いて、真上へと切っ先が弾かれた。
「ぐぅッ!あ、はぁああああッ!!」
木刀を握り締める老獅子。
草陰のお爺さんが俺の事を認識していたのだろうか。
木刀を構えながら、思い切り〈剣の王〉へと疾走する。
…………あ、やばい。今、鳥肌が立った。
嫌な汗が滲み出す。先程の刃が刺さってたら……俺は死んでいた。
「は……っく」
吞まれるな。
覚悟をしていた筈だ。
恐怖を喰らえ、力を奮え。
此処は俺の墓場だ。死が当たり前だと思え。
もしも奇跡が起こるのならば、それこそが唯一無二の生だ。
己のあらゆる力を引き出せ、出し惜しむな、振り絞れ。
潤いも満たしも全てを吐き出し、乾き飢えて骨と皮になるまで。
命と魂、その滾る炎がこの身を灰に尽くすその時まで。
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