5月5日Ⅷθ(4)

架那ちゃんを守ると師範が襲われてしまう。

師範の助けになりたいが、師範に同行すると架那ちゃんが襲われてしまう。

どうすればいいんだ。

どちらかを救うためにどちらかを見捨てる?

いや、そんな選択はありえない。

最悪だ。

でも、どちらかを選ばなきゃいけないのが現実で。

どちらかを選ぶと言うことはどちらかを見捨てると言うことで。

私には両方を掬う力はないし。

英雄でもないし。

どちらかを選択しなければならないのだった。


「最悪の事態は架那さんが誘拐されてしまい、汀が敵に殺されてしまうと言うことです。そんな最悪の事態は絶対に避けなければなりません」

三和さんは私たちに確認するように言う。

「とりあえず、詩歌さんは架那さんの護衛に行ってください。護衛がついていれば今のところ襲われていないので」

「でも、それじゃ最初と同じで師範が・・・」

心配する私に三和さんは諭すように言う。

「ですので今回は私も戦力として数えます」

「薙刀をお持ちになると?」

師範が意外そうに尋ねる。

三和さんって、武道経験あったんだ。

お嬢様なのに意外だなぁ。

「ええ。微力ながら私が対人戦は行いますので、汀は狙撃銃を携行して援護射撃をお願いします」

「お任せください」

師範は三和さんに恭しく礼をする。

「では今回はこれで行きましょうか」

「「はい」」

こうして、私たちの戦いの方針が固まった。

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