5月5日Ⅷθ(3)

「恐らく、と言うか完全に推論なのですが、二階堂家と四咲家は背後でつながっている可能性が高いと思われます」

三和さんはいきなり本筋から話を切り出した。

「そう考えた理由は?」

「詩歌さんが架那さんの護衛についているときは、二階堂さん、四咲さんが女子会にいらっしゃって、汀が暗殺者に襲われました。

それを防ごうと、詩歌さんが私たちのところへ来たときは、女子会には四咲さんしかいらっしゃらず、一人でいた架那さんが拐われました。

あくまでここから考えられる推論として、ですが」

「なるほど」

相槌を打った私に三和さんは小さく頷く。

「その推論からいくと、暗殺者は四咲家の者で、誘拐犯は二階堂家の者と考えるのが自然ですね」

師範は宙を見つめながら呟く。

「ですので、その。正直に申し上げますと、今はかなり八方塞がり、四面楚歌な状況です」

三和さんは深刻そうな表情で私たちに告げた。

「どうしよう」

「どうしましょう」

「どうしますか」

私たち3人は揃ってうーんと頭を悩ませた。

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