5月5日Ⅵ(7)

「これからどこ行く?」

「浜松といえば浜名湖で鰻でしょ!」

笑顔で詩歌が言う。

「お金は?」

「もち経費で落とす」

詩歌は愛奈さんから借りてきたブラックカードを財布から取り出す。

「かっけえっしょ」

「かっけえっす」

今日使うために、何やら持ち主名義だとか何だとかをいじって使えるようになったらしい。

要は今日1日だけはVIPの仲間入りというわけだ。


「ならば鰻を認めよう!そしたらお昼までどこで時間潰す?」

私が尋ねると、詩歌はうーんと悩む。

「浜名湖パロパロなんてどう?」

「楽しそう!行こう!」

私の提案が満場一致で可決されたので、私たちは浜名湖パロパロに遊びに行くことになった。


パロパロまで電車を駆使して1時間程度でついた。

おお。

まさか友達と遊園地に来ることになるとは。

「フリーパス大人2名で」

チケット売り場で詩歌がドヤ顔でブラックカードを出す。

スタッフの人は、こんな子供が?みたいな顔で驚いている。


「どう!?架那ちゃん。かっこよくエスコートできてる?」

園内に入ると詩歌が食い気味に尋ねてくる。

「そう言うこと言わなきゃかっこいいんじゃないかな」

「なるほど」

テンションが上がっていたのは私だけじゃなかったみたいだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る