パンドラの箱
5月4日Ⅵ(13)
熱海の別荘地帯の一角にそびえ立つ大きなお屋敷が今回の会場らしく、続々と高級車両が中に入ってきては、中から綺麗な服装に身を包んだ要人たちが集まってきていた。
「お待ちしておりました」
リムジンから降りたところに立っていたのは、レディーススーツに身を包んだ汀さんだった。
「師範!先に来てたんですか!」
詩歌が嬉しそうに尋ねる。
「ええ、汀は私たちより先に来て手続きをするよう頼んでいましたので」
汀さんにかわって愛奈さんが返答する。
「頼むから粗相はしないでくれよ」
「当たり前です!私を誰だと思っているんですか」
心の底から心配するように言う汀さんに対して、なぜか自信満々な詩歌。
「神坂だから心配してるんだって言うのに」
「私が見張っておくので大丈夫ですよ」
「助かる」
私が申し出ると、汀さんは肩の荷が降りたような顔で言う。
「では私たちはこれで」
汀さんに挨拶を終えたところで、愛奈さんと共に会場の中へと入っていった。
「いい師範を持ったみたいだね」
「うん!」
詩歌は嬉しそうにうなずく。
「じゃあ行こうか愛奈さん」
「ええ」
「用意はいいよ」
晩餐会の行われる部屋の前へと辿り着いた私たちは交互に顔を見合わせる。
「では行きましょう」
「「うん」」
愛奈さんが大きな扉を押して、私たちは部屋の中へと入っていった。
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