5月2日Ⅵθ(1)

今日も架那ちゃんと楽しい学校生活を送って、重い足を引き摺って家へと歩いて帰っていたとき。

「神坂詩歌。お前は今の自分に満足しているか?」

突然正面に現れた汀さんに尋ねられた。

「満足なんてしたことないですけど」

「なら付いてこい。私がお前に稽古をつけてやる」

汀さんは強く言い放った。

「そんなことするメリット汀さんにあるんですか?」

確かに稽古をつけてくれると言うなら、私に異論はない。

ただ何故汀さんがそう言ってきたのかがわからない。

「お前が強くなれば失うものは無いぞ」

答えともつかないような返答を返す汀さん。

「付いてくるのか、こないのか。二つに一つだ、決めろ」

「行きます」

大事な人は私が守る。

そのためには強者である汀さんに稽古をつけてもらうのが近道だろう。

ならば稽古に異論はない。

そうして私の武者修行は幕を開けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る