4月30日Ⅵ(16)
端的に結果だけを言おう。
私は今日中に寝ることは達成した。
思わぬ形で。
寝る、というより寝かされる、だが。
単刀直入に言えば、夜中に襲われ、気絶させられたのだ。
そう、あれは-
さまざまな話に花を咲かせ、そろそろ11時半を回ると言う頃、突然玄関から黒いスーツを見に纏い、バイク用ヘルメットを被った二人組が部屋の中に入ってきたかと思うと、銃を私たち二人に向け、抵抗しないように言った。
その間にどこか別の場所から入ったのか、奥の部屋からおばあちゃんに銃口を突きつけた一人が出てきた。
くそ。
私たちだけじゃなくおばあちゃんまで人質に取るなんて。
詩歌は、今までにないほど悔しそうな表情で下唇を噛んでいる。
「楠木架那と神坂詩歌だな。無駄な抵抗はせずに大人しく両手を上げて動くな。
怪しい動きをした瞬間、楠木花(くすのきはな)の命はないと思え」
私たちに銃口を向けていた一人がそう言う。
声と背格好からして女性だろうか。
それにしても、全員の顔と名前は当たり前のように把握か。
「お前たちの目的はなんだ」
詩歌が、いつになく厳しい口調で彼らに問う。
「お前は神坂詩歌か。お前に答える義理はないが、楠木架那が居合わせている
ことだし特別に教えてやろう。
我々の目的は、楠木架那の力を味方につけることだ」
彼らの言葉の意味を咀嚼する前に、視界が暗転する。
次に気がついたのは、どこか知らない部屋の中だった。
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