4月30日Ⅵ(10)

粉をボウルに測りとって、水を加えて。

均一になるように混ぜたら、容器に漏斗を使って流し込んで。

容器は冷蔵庫に手早く突っ込む。

「おおー」

詩歌がすごいものを見るような目で称賛してくる。

いや、これ別に何もすごいことしてないからね。

「ざっとこんなもんでしょ」

「さすが架那ちゃん、いや架那師匠」

ははー、とか言いながら感服の目でこっち見るのやめて。

気恥ずかしいから。

「じゃ、じゃあ。これ寝かしてる間お風呂でも沸かす?」

「お風呂はご飯の後にでもしない?それより今度こそ勝つからもう一戦勝負しよ!」

今日は大分勝ちにこだわるな。

「お主が勝つには3世紀早いよ」

「な、なんだって〜」

大根役者二人は、再度対局を始めた。


「また負けたぁ〜。なんで勝てないんだろ」

詩歌は悔しそうにそう言うと、ぐでーっと背中側から床に倒れ込む。

「詩歌はなんて先くらいまで読んで打ってる?」

考えられる可能性の一つ目を聞いてみる。

「んー、2,3手かなぁ。架那ちゃんは?」

「大体10手くらい?プロじゃないからそんなに読めないけど」

「10!?それもはや未来予知じゃん。やば」

詩歌は勢いよく床から上体を起こすと、食い気味に言ってくる。

「まず第一としては、この読んでる手数じゃないかな」

「なるほど」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る