4月15日Ⅳ(10)

うあああ。

え、まって。

私がまけた?

ほんと?

わぁぉ。

わぁぉ。

わお。

こほん。

落ち着け、楠木架那。

ただ彼女を下の名前で呼ぶだけじゃぁないか。

至極簡単。至って簡単。

何も難しいことはない。

余裕だよ余裕。

世界の国名・首都・主要産業を覚えるより簡単。

いや、どうだろう。

あれは一週間で覚えられたしなぁ。

ま、まあ。

負けたからにはいさぎよく負けを認めよう。

それが武士というものだろう。

「ほら架那ちゃん、命令☆」

くそう。

タノシソウニワラッテイヤガル。

ええいままよ!

「え、えっと。詩歌…」

今言った!

言ったよね!?

「ん?何?聞こえなかったからもう一回言って?」

彼女は悪魔か鬼かはたまた悪鬼か。

どれも同じか。

「詩歌!これでいい!?」

半ばやけくそ気味にそう叫ぶ。

「うん。これからもその呼び方でよろしくね架那ちゃん」

くぅぅぅ。

はずかしい…。

ころしてくれぇぇ。

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