第20話 活用、毒霧
ここで僕、さらにこの男を利用する方法を考えた。
単独で偵察に入って、自分自身の限界を思い知ったからね。助けてもらえればありがたいし、そもそも利用できるものは利用しないとね。
ま、簡単に考えるなら、武器をこの男に返して基地に突っ込んでもらおうか、とか。
結構頑張ってくれそうな気がするんだ。
ただ、この男を見殺しにする覚悟は僕にはない。
お姉さまなら、その判断もできるのかもしれないけど、僕はしたくない。
それに、右手の人差指が折れているの、戦いに不利だよね。
つまり、今の状態で突っ込ましたら、この男の能力を活かせないままその生命を無駄遣いすることになる。
これからは僕、もう不用意に相手を怪我をさせるような作戦は採らないように気をつけるよ。
人とは弱いものだ。この殺し屋の男ほど訓練を重ねていても、怪我をしたら治るのに1ヶ月とか掛かってしまう。
僕や
でもさ、この男を有効活用ってか、手伝ってもらえることを思いついたけど。
さっきの、敵基地内のノートパソコンの中身を見てもらうことならできるんじゃないだろうか?
絶対、アラビア文字も読めるだろうし。
でもって、それがダメなら、ハードディスクだけ破壊して来てもいいな。
敵の邪魔できれば御の字だし、あれだけ洗脳された集団だから自分のアイデアで行動するようなことも少ないだろう。つまり、データと通信手段を破壊されたら、そのリカバリにはとても時間がかかるだろうってことだ。
しかもそれだけ効果的でありながら、パソコンってのは壊れるものだし、工作されたと思われにくいよね。
となると、朝イチのメールチェックに間に合うように再度潜入しておけば、パスワードからメールの内容とかまでみんな見れてしまうことになる。
ずいぶんとこれ、いい案だと自分でも思うよ。
たださ、この男を連れて再度霧化したとき、臭いがどうなるのかはわからない。おしっこ臭い霧なんて、すでにもう毒霧攻撃より酷くて最低だ。
そういや、加湿器におしっこを入れるって嫌がらせを聞いたことかあって、そりゃあ最低だと思ったけどね。自分自身がそういう存在にはなりたくないよ。
ということは、作戦を実行するためにはこの男にシャワーを浴びさせなきゃだし、着替えも必要だってこと。
これは案外たいへんだ。
なんせ着替えはない。海水で洗濯しても、早朝までの時間で乾くはずもない。
僕の服を分けて着ることもできない。
だって、僕、成長はできるようになったけど、スタート地点の中学生の時にクラスで一番小さかったからね。今でも身長順で並んだら、クラス内で1、2を争っちゃうんだ。
つまり、深夜の海水浴をさせても、素っ裸の、しかも顔の濃さに比例してかなり毛深い男に抱きつく必要が生まれて、それだけは絶対嫌だよ。
高校2年の男子に与えられたミッションとしては、過酷が過ぎるってもんだろ?
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