第409話名誉回復
将軍足利義昭の手紙は当然……。
私(村上義清)「氏真の所にも届いているよな?」
真田幸隆「はい。それも義信の後押しとなっています。」
足利義昭は先年今川氏真を賊将に指定。徳川家康を主体とした村上武田。そして北条が連合し、氏真討伐の命令を下していたのでありましたが……。
春日虎綱「『憎き織田信長を討つべく徳川家康と和睦し、共に手を携えて上洛せよ。』との思し召しに御座います。」
私(村上義清)「氏康の所には届いていないのだろ?」
真田幸隆「はい。もしそうでありましたら、輝虎が上洛に動く危険性がありました。」
私(村上義清)「(遠江東部の)海は北条が管轄しているから、陸路(の武田)だけを注視すれば問題は無い?」
春日虎綱「ただ実際に管理しているのは今川の者でありますし、輝虎と氏康との抗争は続いていますので。」
真田幸隆「義信の動きに(今川の)水軍が引っ張り込まれる恐れがある?」
春日虎綱「可能性は十分にあります。」
私(村上義清)「(家康は)近江に行くどころでは無くなってしまったな。」
真田幸隆「家康が義信と氏真も連れて向かうのも手かもしれないな。」
私(村上義清)「目標は近江か?」
春日虎綱「止めてくださいよ。確実に私の管轄地が巻き込まれる事になるのでありますから。」
真田幸隆「いや。水軍を駆使しての行軍になる事を考えると知多半島から伊勢の制海権を掌握しながら熱田と津島を伺い、場合によっては長島の一向宗とも連携する。……そうだな。お前(虎綱)の所が大変な事になるな。」
私(村上義清)「しかしその道だと信長討伐にはならないであろう。」
春日虎綱「う~~~ん。どうですかね?将軍様からすれば信長を京から追い払ってくれれば良いだけでありますし、東は甲斐駿河。西は伊勢近江までを掌握する。今の信長よりも大きな勢力が京に居るのは将軍様にとっては……。」
私(村上義清)「面白くは無い?」
真田幸隆「それに氏真は将軍になる資格を持っていますので、仮に将軍様が排除に乗り出しても。」
私(村上義清)「返り討ちにされる恐れがある?」
真田幸隆「躊躇する必要がありません故。」
私(村上義清)「実際の所、家康はどうしている?」
春日虎綱「今川と和睦するつもりはありません。武田とも同様であります。しかし現状、天竜川の向こう岸を奪い取るだけの隙はありませんし、将軍様。これは信長の添状がある方の要請に応えなければなりません。幸い将軍様が氏真と和を結ぶよう指示がありましたのでこれを受諾。近江へ向かうとの事であります。」
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