旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第159話関東公方

長野業正。山内上杉に帰順。彼らの間を取り持ったのは勿論長尾景虎。

真田幸隆「頭を下げる側は『仕方ねえな。』の一言になりますけれども、迎え入れる側は。」

私（村上義清）「う～～～ん。同じだろうな。ところで条件面は。」

真田幸隆「特に変化は見られません。」

私（村上義清）「前線で戦わせたりはしないのか。」

真田幸隆「いえ。それもありません。」

私（村上義清）「太っ腹だな。」

真田幸隆「それ以上に業正の影響力を使うことを優先させたと思われます。」

私（村上義清）「それが落ち着いたら。」

真田幸隆「さぁ。」

私（村上義清）「だよね。」

真田幸隆「ともあれ山内上杉憲政の本拠地。上野の利根川以西の回復に成功しました。」

私（村上義清）「次は北条氏康氏政親子になる。」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「そうなると景虎の次なる目標は憲政の旧領である武蔵北部と東部。」

真田幸隆「いえ。上野の衆の話を聞きますと、景虎は一気に小田原を狙っているとか。」

私（村上義清）「え！本気！？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「利根川以東の権力者関東公方はどうする。あそこは今、氏康の甥が務めている。それを無視して兵を進めたら東関東の諸将によって退路を塞がれる危険性があるぞ。」

真田幸隆「それに対応するために呼んだらしいですよ、彼を。」

私（村上義清）「誰のことだ。」

真田幸隆「殿も信濃守の時カネをむしり取られたでしょう。」

私（村上義清）「関白のことか。」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「それと関東公方になにか関係があるのか。」

真田幸隆「はい。どうやら景虎は関白様を関東公方に据えようと目論んでいるようであります。」

私（村上義清）「えっ！現職の関白を！？」

真田幸隆「京に居ても将軍様と三好。更には天皇様との政争に巻き込まれ、いつ罷免されるかわからない状況にあるそうで。そこに声を掛けたのが上洛していた長尾景虎。」

私（村上義清）「こっちのほうが厄介なような気もするのだけれど。」

真田幸隆「知らぬが某とも言いますので。ただ景虎の庇護下にあれば身の安全は担保されます。」

私（村上義清）「しかし就任するとなったら。」

真田幸隆「景虎は出来れば安全な越後か、もし何かあった時すぐに対応することの出来る上野に奉じようと考えているようでありますが、関白様は。」

私（村上義清）「古河に居を構えたいとでも言ってるのか。」

真田幸隆「仰っているらしいですよ。」

私（村上義清）「（現職の足利）義氏ですら入っていないのだぞ。」

真田幸隆「ええ。既に小田原への避難を終えています。」

私（村上義清）「大丈夫なのかこの遠征。」