第141話景虎の周囲が
三好長慶との抗争で苦戦が続く将軍足利義輝の要請を受け上洛していた長尾景虎が越後に帰国。嫡男国清元服の御礼も兼ね越後に入る村上義清。会見を終え帰国。
真田幸隆「将軍様の地位はそこまで……。」
私(村上義清)「京に戻ることは出来たのではあるが……。」
実権は三好長慶。
春日虎綱「しかし殿は朝廷の官位を使って(幕臣の)小笠原長時を破ったのでありますから。」
真田幸隆「長尾景虎は言わば仇敵……。」
私(村上義清)「止めてくれよ。」
春日虎綱「国清様の実績を積むに十分な機会が目の前に転がっていると言うことであります。」
私(村上義清)「国清を猶子にしてくれた景虎と何で喧嘩しなければいけないの……。」
真田幸隆「殿が(朝廷を意のままに操る)三好長慶と手を組んでいる以上仕方ありませぬ。」
春日虎綱「言わば代理戦争。」
私(村上義清)「経済封鎖されたら一発で破綻するから勘弁して……。」
海が無く、稲作を基礎に置いていないため物資の大半を越後経由で獲得している村上領。たとえお金があったとしても物の流れを止められてしまったら……。
春日虎綱「今までの非礼を詫びに赴かれたのでありまするね。」
私(村上義清)「……いいよ。それで。景虎が忙しくなるそうな。」
春日虎綱「殿とのいくさ……。」
私(村上義清)「もしそうだったら帰ることは出来ていない。」
真田幸隆「それは残念でしたね。」
私(村上義清)「本気で言ってる?」
真田幸隆「そんなわけないでしょう。今殿が居なくなったら信濃は分裂してしまいます。」
春日虎綱「言うならば『必要悪』と言ったところでしょうか。」
私(村上義清)「御免ね。晴信じゃ無くて……。景虎の件に戻っていい?」
真田幸隆「関東への遠征が……。」
私(村上義清)「大きい話はそれかな。それ以外にも越中が騒がしくなっている。と……。」
越中の国人椎名康胤と守護代神保長職の抗争が激化。不利な状況に陥った松倉城主椎名康胤が長尾景虎に仲裁を依頼。景虎が調停に乗り出すもうまくいかず……。
真田幸隆「越中に兵を出すそうな……。」
私(村上義清)「景虎は、大義さえあれば実行に移す。」
春日虎綱「……となりますと三好と仲の良い殿も……。」
私(村上義清)「今越後に居る関白様の仲介で信濃守になったことを忘れずに。三好長慶と昵懇の仲にあるわけではありません。」
春日虎綱「そうなりますと本来天皇様から与えられるべき地位を僭称していることに……。」
私(村上義清)「信濃守を得た時は……これが正式だった……よな……。もういいでしょうそれは……。関東の話をしてもいいかな……。」
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