第10話「テレビ塔に登って、街を楽しむ」②
「ど、どうかなぁ……?」
ええ、現在時刻は13時45分、犯人が現れました。
史上最高の露出犯です。やばいです、早く応援を早くしないと俺の身が持たないというかもうすでに精神が持っておりません。ということで今までありがとうございました、高橋からお送りしました。
「……あれ、大丈夫? も、もしかして——似合ってない?」
「っひゃぁ?」
霧雨さんからの二言目で俺は失い欠けていた気を取り戻し、変な声を上げていた。しかし、気づいたときには時すでに遅く、その顔は歪んでいた。
——いや、というよりも引いていた。
「……ひゃぁ?」
「あ、いや——これはそのっ、なんというか……っ」
「その?」
一歩近づいた霧雨さん。
「——に、似合っていると……思うぞ?」
ケモミミ。
俺は思うのだ。
どんな地味で華奢な女の子も、彼女のように可愛さ溢れる女の子も、ケモミミさえ付ければ全員最強最高最かわになるということを。
☆☆
なぜ、俺が市電通りの洋服屋さんの試着室前で驚き、顔を真っ赤にしているのか、その理由は30分前まで遡る。
忌々しい烏のあれで汚れた制服の上をゴミ袋に入れて、俺たち二人が駆け込んだのは市電通りの洋服屋だった。
見た目は結構しっかりとしていたが、中に入ってみるとポップで可愛い服やジャラジャラとパンクな見た目の服、そして正統派な服も飾られていて、烏のあれがついてテンションが下がり気味の霧雨さんの表情も明るくなっていく。
まあ、俺自身。こういう店苦手なんだけど。
「あ、これだ! これにする‼‼」
「え——」
「待ってて、そこで!」
入店直後、まさに3分ほどの出来事だった。
そそくさと何か真っ白な服を手にして試着室に駆け込む霧雨さんを唖然と眺めて、1分後がまさに今だった。
☆☆
「似合っていると思うぞ?」
「え、ほんと‼‼」
真っ白なパーカー、ワイシャツの上から羽織られたその服の胸部が綺麗に盛り上がり、二つの山を形成していた。端的に言うと、おっぱいによってそのパーカーは千切れんばかりに張っていた。
だが、言いたいところはそこではない。
それに、今更そんな見た目におどおどする俺ではない。
まあ、変わらず陰キャなんだけどさ。
「ほ、ほんとだ……よ」
「あれ、顔赤いよ? もしかして、昇二照れてる⁇」
「うぐ……ちが、そういうわけじゃないっ」
「え、じゃあ、どういうこと?」
だっても何も、ケモミミだぞ。銀髪ショート、そしてミスコン準優勝の肩書を持つ美少女という前提状況もある。
何という破壊力、これがケモミミ……いや、ケモミミパーカーの力だと言うのかっ——と思わず口ずさんでしまうくらいには、可愛い過ぎてやばかった。
もはや、俺の出る幕はないってほどに可愛くて綺麗で、最高だった(語彙力)。
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