国王と王女にほめたたえられる
「よくぞいらっしゃいました。トール様、エミリア様。お話は冒険者ギルドから伺っています」
執事にそう言われる。
「はぁ……」
俺達は王国についた。
「国王様と王女様がお待ちです。是非、こちらにいらしてください」
俺達は案内される。国王の元へと。
◇
「よくぞいらしてくださいました! トール様! エミリア様!」
「お待ちしておりましたわ」
国王と王女はそう俺を出迎えた。何でも王妃は王女が幼い頃になくなっているらしい。その後は国王は妻などはとっていないそうだ。
「ありがとうございます。トール様。北の洞窟に巣食っていたドラゴンを倒していただき、誠に感謝申し上げます」
「本当ですわ。トール様。勇者ラカン様のパーティーなど本当の勇者ではありませんわ。トール様、あなた様こそが本当の勇者、この王国の英雄ですわ」
俺は王女、フィオナ姫から熱烈な視線で見られる。潤んだようだ、瞳だ。
「むうっ……うー!」
エミリアはむくれたような顔になる。
「どうした? エミリア」
「なんでもない……けど、トール。隣にも王国グリザイアの王女様がいるって事忘れないでよね」
「忘れるわけないだろ……」
何を心配しているんだ、こいつは。
「それではトール殿、どうか褒美を受け取って欲しいのだが」
「ほ、褒美ですかっ! 滅相もない! 結構ですよ! だって俺達は冒険者ギルドから既に褒美を受け取ってますし!」
「まあ、そういうな。こちらとしても手渡さなければ心苦しいのだ。わかってくれ。セバス」
「はっ!」
「トール殿に礼のものを渡してくれ」
俺は執事――セバスから小包を渡される。またびっちりとしていた。
「少ないだろうが、旅の足しにしてくれ」
「な、中を開けてもいいですか?」
「勿論だとも」
俺は袋の中を覗き見る。やっぱりだ。金貨だ。それもびっちり。さっきの冒険者ギルドの倍だから、金貨200枚はありそうなものだ。
「トール凄いじゃない! またお金をもらえたの!」
「みたいだな」
エミリアの父親であるグリザイアの国王からも貰ったのに。これだけ貰っても使い切れそうにないな。
「どうだ。トール殿、もう少し城でゆっくりとしていかないか? 国の英雄だ。こちらとしても丁重にもてなしたくはある」
「いえ、お言葉だけ頂いておきます。俺達も行くところがあるので」
「勇者トール様……是非、またお会いしましょう」
フィオナ姫は俺にそう言ってきた。とろけるような視線で。
「むうーうー!」
エミリアがむくれたような顔をする。
「どうしたんだ? エミリア」
「な、なんでもないわよ!」
国王と王女と面会した俺達は、王国を出る事となる。
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