第百六十一話 門


「無理やりだなー、、」ユーリ

「でも行けるでしょ?」ダンマス

「まぁ、、でもどうだろ?もっと魔力の消費を押さえられないかなー、、半分ほどになれば今ほど怖さはないんだけどなー」


「もしなんかあったら、全てこっちの世界に噴出させられません?」

「まぁ向きくらいならできるけど、、いいの?」

「危なくなってきたらわかるでしょ?」

「まぁ事前に、やばいな?くらいは、、」


「そなったらユータの両親とか連れてくれば間に合いますよね?」

「そのくらいの時間はあると思うけど、、まぁ仕方ないな、両方破滅するよりは一方にしとけば済むんだからな」

「でも、そうならないように努力しましょう!」

「勿論!!」


彼等は、以前ユータが使った転移扉を使うつもりだ。

異世界間の扉。

まぁ、扉では使う魔力がでかいので保たなさそうなので、門にしてみました。


なので両側は堅牢になったので膨大な魔力にも耐えるようになった。

で、中の回廊。通る者には数歩でしかないが、そこで世界を超える座標に結びつけるという荒業になっているので、しかも時間が”経っている”のだ。



昔に大魔法使いが作った洞窟は時間が経たない。なので、当人の中に残っている記録のまま、出てきた時間をそのまま入る時間にすればいい。場所も決まっている完全固定。動くのはユータの世界の洞窟の入り口のみなのでさほど魔力を使わない。

今ユーリとダンマスが作っているのに比べれば、ものすごく消費エネルギーが少ない。でも、それでも当時の大魔法使いの魔力の殆どを食ってしまうほどのものだった。そのおかげでユータが来るまで維持できていたということもある。


ただ、今回、第二陣以降に洞窟を使うと、第一陣を入れてダンマスが帰ってきた時の頃になってしまう。

それでは分けた意味は半減だ。

第一陣が向こうで先に慣れ、彼等がリーダーとなって二陣以降の者達を指導していってくれなければ収拾つかなくなってしまう。


二陣以降の人数は桁が違う。合計で40万人だ。第一陣は3千人。

ユータ達の作業班一つに今まで20人ー100人とかだったが、2−3千人を1班に入れることは不可能だ。

かと言って、そのまま新ムータンに送ったら、、、、魔獣とか見た時や、技術の、特に素材技術が全く違うので、ムータンの技術者の大半はその知識は使えなくなる。



向こうの技術とこっちの技術、両方を知って、どうすれば旨く使えるか?などを考えられるようにしなければならない。

例えば今の日本で、電動工具しか使えない、組み立て式の家しか作れない大工が、江戸末期か明治の頃の昔の工具しかないとこでどーすんだ?みたいな事だ。


電気の技術者でも、魔力のことを理解できればどこかで何かを使えるかも知れない。でも知らなければ何もできない。そのために、現地の生活を体験し、体で知ることが必要。そうすれば、どういうことに魔法が使われ、どういうとこでは魔法ではない技術が使われているのかの見当が付く。どこまで発展しているのか?なども想定しやすい。


知識というものは、何かと比較検討することによって、その位置が決まる。それが決まらないと、その知識の意味合いは半減してしまう。使えない知識でしか無くなってしまうのだ。

その比較対象が多くなればなるほど、その知識の有用性は大きくなる。


ーー


双方の門の、各々の時間軸は設定された。そこから各々の1日を整合させて、双方の一日がお互いに一日となるようにさせる。ここも結構重くなる。

勿論世界を通り抜けるところがもっとも能力を食うところだ。

物理体でなければかなり軽くなるのだが、、とユーリ。


「私くらいのストレージの中って、歩けるんですかね?」

ダンマスのストレージは回復魔法を3重くらいにかけておけば、魔力があまり無い者でも世界を超えてもそれほど損傷を受けないで済んでいる。


「やってみるか、、」ユーリ

回廊をダンマスのスベシアルなストレージで覆い、双方の入り口で自動で回復魔法三重掛けして、世界をつなげている部分を歩いて超えるようにする。


固定ストレージはよく倉庫とかで使われる。ダンマスレベルのは今までその存在も無かったレベルのものなので、ものすごく魔力を食うが、それは最初作るときのみ。維持はユータやドーラの全力でお釣りが幾分来る程度。何か非常に魔力を食うことをしない限り、ダンマスとドーラ、ユータの誰かが居ればどうにかなるだろう。

そのうちにローラもユーリもその程度にはなれるのではないか?とも思えるし。


あとは、最初は40万だが、それ以降は日に10人とかの制限を設けて門に優しい使い方をすれば門と回廊の負担は少ないだろう。


なんとか見えてきたかも知れない、と、ユーリは少し希望を持てた。

今までは爆弾で作った洞窟をどう使うか?みたいなものだったのだ。

それが、最悪でも「使えなくなるだけ」かもしれない程度にまでに、いきなりなった。


ダンマスがここまで強くなっていてくれたおかげだ。これがなかったら、、と思うと、、


ーー


ムータン冒険者達はめきめき腕を上げている。

もともと山の者達だから?

ムータンでは都会は王都くらいしか無い。しかも電気じみた都市ではなく、古い街がでかくなっただけの都市。

なので、山などから出てきて王都で兵士になっても、その子供の頃に培った経験は消えないでいるのだろう。


それが今ドラゴニアの世界で活かされているように見える。

勘が発達するのが速いのだ。


もともと兵士だから連携はうまい。もう阿吽の呼吸くらい。

なのでばんばん獲物を狩っている。


中間の街や北の森に入っていたが、狩りすぎるんで、ドラゴニアの新しく領土になった森の方を狩場にした。

中間の街や北の森にくらべれば王宮に近いので、リーダーのベテラン冒険者たちや補助でいざというときは出張る皆も少しは気が楽になる。


また、水路近くで行動するときは、養殖組の誰かが手を貸してくれることもある。

移動に船(小舟)も、かなり助かる。魔力の消費を大きく抑えられるから。一般の者達にとっては飛行魔法もかなり魔力消費になるのだ。まぁ、以前は飛べる者すら、大変珍しいものだったが。


ムータン冒険者達が自分たちで狩りを自在にできるようになれば、農業や畜産が軌道に乗るまでの食料確保ができるだろう。

ただ、そこまで獲物がいるかどうか?となると、、、。なので川や海での魚の漁も重要だ。


まぁ其のへんくらいなら、後陣が来てから、教えていっても間に合うのではないか?と養殖班のリーダーのタクとかガンダやドーラも思っている。


さあ、あとはいつになるか?だ。

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