第百五十六話 同盟各国の王達
ムータンからの第一陣が来るひと月くらい前のこと。
北の国イスターニャ国王ウンゲルン(84-5話)は考えていた。ウンゲルンはムータン予定地視察から帰国していた。
ムータンという異世界から引っ越してくる”国”がある。
異世界から国ごとこっちに引っ越させてしまうのだ。
ドラゴニア。思っていたより、数桁違うほどの能力を持つのだろう。もう平凡な我らには想像の範疇に無い位置にいるのだろうことは確実だ。
おとぎ話の大魔法使いでさえ、考えもしなかったのではなかろうか?
もとより敵対する気など無かったが、「良い者達でよかった」と、心底安堵している。
あとは、我が国が他の国々の手本になるほど良い国になればいいだけだ。彼等は、そういう者達を信頼するのだから。
私に、私達の世代にできるのは、今のこの国を良い国にすることだけだ。そうすれば、少なくとも絶対に滅亡はしない。ドラゴニアと敵対しないし、他の敵が来てもドラゴニアがつぶしてくれる。
後の世代は、もう私達の及ぶところではない。人が何世代、何十世代にわたろうと、ドラゴニア王は生きているのだ。
ーー
ラットビア国王ハムス6世。彼もムータン予定地視察に招待され、その後援助のことでガンダ達といろいろ話が在るのでまだドラゴニアに残っている。
ガンダとザク、ジオと話し合い、大まかな所は決まった。あとは部下たちに細かいところを決めてもらえばいい。というところまで済んでいた。
「・・なんというか、、ドラゴニア王達が、これほどとは、、、、」ハムス
「いや、実のところ俺達もそう思ってまして、、」ガンダ
「まぁ、ダンマスが半端なくすごいんだな」ジオ
「・・・うむ」ザク
「ダンジョンを作るくらいはまだ予想付いた。納得いった。なにせ一つのダンジョンの持ち主だからな。だから増やすこともできるだろうって。でも、異世界を、俺らの世界よりなんか凄い技術持っている世界相手に勝っちまう?。で、一国をこっちに転移させる?もうわけわかんねぇ、、」ガンダ
「まぁ、理屈はわかるが、実際出来る者など存在するわけがない、という考えが今までの常識だったからな。いるとしたら神くらいか、とかな」ジオ
「おう、すごすぎて想像付かねぇ」ザク
「つくづく、ダンマスがいい人でよかったよ。これが悪人だったら、、と思うと、、、ザクじゃねーけど、想像したくねぇな」ガンダ
「ですよねぇ」ハムス
「ついていた」ザク
「「・・・・・だな」」ガンダ、ジオ
わからない顔しているハムスに、ユータとの出会いからドーラとの出会い、そして今に至るまでザッと説明したガンダ。
「彼が居なかったら、ゴンザールとの交易も?」ハムス
「それはないな、ユータが扉を作れる。いくつも作っていたろう。もしくは交易ルート、時間がかかるが安全な街道を作ったろう。当然間には街ができ、そこは栄えていたことだろう」ジオ
「そっちでもよかったかな?」ガンダ
「まぁ、どっちでもいい」ザク
何にしても、ゲスザンスとゴーミは潰されていた。ゴンザールをねらった時点でドーラとユータに狙われ、終わっていた。そしてジオの言う通り、ダンマス方式ではなくとも、ドーラとユータはなにかしらの方法で、ゴンザールとドラゴニアの交易ルートを作っていたことだろう。
そして以前の冒険者ギルドが腐っていたので、それもドーラとユータの潰す敵になっていた。向こうから敵対してきたのだから。
更に、リターニャも、だ。
そこはダンマスがいるいないにかからわらず、起こっていたことだ。
「こっちの世界でのでっかい改革は、ドーラとユータがやっていたんだなぁ、、今になってつくづくそうわかったよ」
「ああ、俺もだ」
「うむ」
「・・なんと言うのか、、、それだけでももう神の仕業並になりますねぇ、、私にとっては」ハムス
「子供だから・・」ザク
「ああ、純粋なんだ」ジオ
「俺らも、いつの間にか影響受けているよな」ガンダ
「「ああ」」
「いい仲間、そして、半端なく凄い仲間なんですな」ハムス
「「「ああ」」」
「まるで、春のようにのほほんとアホウ言って、バカやってるけど、実は台風以上いやでかい竜巻みたいに周囲を巻き込んで、、」
「無理やり、良くしちまった」
「なんか、、、、あっという間、だったな」
「「ああ」」
ーー
南への街道整備が終わり、南のドラゴニアとの国境付近にでかい街を作っている最中のミカロユス(元リターニャ国軍司令官、83話〜)。
拠点を新南東領都から、ここ南国境の街に移している。ここがある程度安定したら、今度は東西を結ぶ街道整備に行く。
ドラゴニアから帰ってきてからすぐに現王に連絡を出した。可能な限り早くドラゴニアに行ってみてくれ、視察をしてくれ。と。
そして、異世界から引っ越してくる国の移転先がほぼできているので、そこも視察してみてほしいと。
異世界から国ごと移転?わけわからん!!が、彼等はやるのだろう。
もうなんでもありなんだろう、あーゆー、、なんというか、、別次元の者達は。
考えないでそのまま受け入れるほうがより理解できる、ってことが存在することを、この歳になって初めて知った気がしたミカロユス。
自分とドーラは個人で同盟結んでいるが、王とドーラ、北西王国(元リターニャ)とドラゴニア王国が同盟結んでくれるほうが安心できるミカロユス。
なので、今後は出来る限り王を引っ張り出してドラゴニアとかかわらせようと思っている。
ドラゴニアを視察したおかげで、ミカロユスがほしい国というものが「どのような感じの国」なのかが、少し判ってきた。今までのと全く違う感じだと思った。
少しずつ、ドーラやユータの心が彼等の心にも影響し始めてるのかもしれない。
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