第百五十五話 移住先遣隊始動


「えー、ダンマスから聞いてるのはそんだけ?」ドーラ

「おう、だからドーラが詳しく聞いてるとか思ってた」ガンダ


「「・・・・・・・・・・・・・」」


「ま、しかたねー、どうにかするべぇ、、」ガンダ

「だねー」


ムータンから来た者達を、最初どーするかな?ということ。

要はダンマスはこっちに丸投げしていた。

「ムータンから送った者をそっちで一員前にする方法を確立してね!♪」

ということだ。


幸いなことに全員が、テイナが教えた言語魔法を習得できた。向こうでダンマスとユーリが特に気合い入れて根性で魔力を付けさせてたんだろうなぁ、、とわかる。その甲斐があったということだ。

意思疎通ならまだしも、言語魔法ってのは理屈の理解も必要。でもその分読み書きもできるようになるので凄く便利。


できなかったら一時的にテイナやジオが個々に魔法掛けても良かったのだが、どのくらい長続きするかわからんので自分で出来る方がいい。永続的だからね!


で、んじゃどーしよーか?ってとこだった。



「とりあえずドラゴニア国内(王都側)だな。まだ外部の者に会わせるわけにはいかないだろ。話が合わないだろうし。齟齬があって喧嘩とかになるかもしれないし、なによりこっちを嫌いになったら王様が困る。」と、ドーラ。

「そこは向こうの者を知っているドーラの意見を取るのがいいな。んじゃ、各班に振り分けて様子見る?」ガンダ

「そうだね、、リーダー集めてムータン人だと説明し、面倒見てもらうのがいいよね」ユータ



王宮の食堂に流石に3000人は入らないので、ユータとドーラで急遽、王宮の前のにある軍用敷地にでっかい兵舎を建てた。狩り班、厨房班はプラス3000人になるので特に忙しくなるので人手を割くことができないので、畑とか養殖とかから数人ずつ出してもらって、ベッドなど調度品を揃えてもらう。今在庫が在るモノはそのまま使い、魔法で作り出せるものは作ってもらい、そうでないものはどうにかかき集めてきてもらう。


良かったのは、ムータンが何でもかんでも自動化されている国ではなかった、ということ。

井戸から水を汲むところも多いし、薪で煮炊きするところも多かった。移動も歩きや馬車が多い国だ。


建設中は、言語魔法習得できた者達から全て見ててもらった。ドラゴニアではどのようなやり方なのか?を。

でも今回のようにドーラ、ユータ、ダンマスがすることは特別すぎることだけど。でもそして、これを見ておけば、他のことを見ても驚きはそれほどでもないだろう。


あと、こっちの病原菌等だが、ユータは別格だとしても、他の向こうから来た者が何かのウイルスや寄生虫などにやられるかも知れない。そこだけ周囲の者達に観察してて貰わなければならない。

逆もある。ムータン人には何でもない細菌でも、こっちの者は免疫無いものとかあるかもしれない。多分ドラゴニア本国国内なら皆強いので耐性も強いだろうから大丈夫だろうけど、ゴンザールなど同盟になると魔力も弱い者もまだまだ多い。もしムータンの彼等が慣れて外に出るとなったときは、最初は中間の街限定等注意が必要だ。


その晩は邸の食堂は使わず、邸で食べる者達は皆兵舎の食堂で一緒に食べた。

食事を終えてデザートになったときに、各班のリーダーがそれぞれ自己紹介をした。勿論自分の仕事も。

リーダー全員の紹介が終わった後、ガンダ達が自己紹介。

その後、


「ムータンから来た皆には、最初にどこかの職場に入ってこの世界に慣れてもらう。

こっちは魔法が在る世界だ。だから考え方一つとっても違うことも在るだろう。

でも同じ人間同士だから、そういう場合でも話せが理解しあうことが可能だ。

急がないでいい。急ぐことは重要ではない。

必要に応じて、、いや、必要がなくとも、じっくり話し合ってほしい。


では、これから、やってみたい仕事の班に入ってほしい。もし合わないとかとてもできないとか思ったり感じたりした場合はまた変更できるんで、経験の有無にかかわらず、やってみたいことを選んでほしい。


訊きたいことがあったら各リーダーに聞いてくれ。

それじゃ始めてくれ。」ガンダ。


それから2時間以上、夜半になるまで皆いろいろ訊きまくって、選んでいた。


最初は「子供?」と、リーダーを見て不審に思った者達も多かったようだが、話しているうちに経験と知識があることがわかったようだ。

そのうち、実際の年齢など当人を評価する規準にはあまり参考にならないもんだ、ということを理解するだろう。

「経験」それは、元孤児たちの強みになっていた。



翌日から朝食後、皆出勤していく。とりあえずもう職場に入ってしまえば仲間ができるのだ。身近な先輩ができるのだ。

それはムータンから来た者達の「異邦人意識」を希薄にさせていくだろう。

無意味な「区別化」もなくなるだろう。

そして、それはひいては、その後の正当な理由なき差別や区別をしなくなるというものだ。



ただ、リーダーやサブリーダー達にとっては結構な負担となっていた。

チーム内ではその時時に話し合いを行うからいいとして、夕食後にリーダーとサブリーダーとガンダ達がミーティングをする。

その際に、その日起こったことなどを発表し、皆で検討する。それに時間がかかる。だから寝るのが遅くなる。


リーダー達の睡眠不足が深刻になる前に、テイナとジオがよく眠れる魔法を考え出して皆に教えたので、各自使って短時間でもぐっすり眠れるようになって助かった。


各所でいろいろなアクシデント等あるが、それらは皆「慣れ」の問題で、仕事やこっちの世界に慣れれば消えるものだった。

なので、消えるまでのムータンから来た者達へのフォローを皆でしっかりやっていく、ということになる。


最も多かったのは、適当でいい事を、そこまで適当にできない、ということだった。

ユータに言わせりゃ、日本じゃもっときっちりやってるんで、ムータンのやり方なんかかなりテキトーなんだけどなー。だ。

でも、その必要(きっちりやること)が本当にあるのか?を突き詰めると、殆どの場合「いらねんじゃね?」となる。そこを理解させるのに時間がかかる。思考も、慣れ、だ。そのうちに、その適当さ、が丁度いいのだ、と実体験でわかるのだから。


ただ、その”ほどほどの適当さ”後、問題が起きても対処できるから、そのテキトーさでも可能なのだ。それこそ、実体験を積み重ねて自分の実力を付けていかねばならない。



「まぁ、そこいらガチガチなのは、彼等ができる者達だからだろ?王の側近達なんだろ?どーでもいいことでも、あーでもないこーでもないってやってんだろ、今のうちは仕方ないよな」ガンダ

(冒険者は一般社会から見ても結構てきとーw)


だから、後から来る街の人達、普通の人達はそういった問題はさほどでないんじゃないか?と気軽だ。


実際、皆現場に入って一月も経てば、ミーティングでももうあまり問題はでなくなっていたのだ。


「順応性は思ったよりあるんだなぁ、、」ドーラ

「うん、そーだね」ユータ

(・・ユータは順応性高かったんだなぁ、、)マキ、テイナ、ニヤ

日本人の若い子のほんの一部は異常に順応性高いかも知れない?



あと、良かったのが酪農。

家畜班は今までそれほど規模が無かった。

しかし、ムータンの主要産業の一つで酪農が在る。大体野放しの昔ながらの酪農。

なので、こっちの世界にはピッタリだった。

彼らがドラゴニアに来てから半月ほど経ってからそれが発覚し、それからムータンの酪農経験者にこっちで家畜班に移動してもらって教えてもらえることになった。

これはムータンの者達にも自信につながることになって良いことだった。


「ミルクやバターがよくなるんじゃない?!!」とテイナ達がよろこでいる。

「ケーキが美味くなるニャっ!!」

「それだつ!!!」ドーラ、ユータ、ローラ

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