第百二十九話 ジョニーと新人2人、ドラゴニアに帰国。


昼は、ニヤとテイナが街の食堂を見ている日なので邸(王宮)には来ないが、他の銀月、満月のメンバーと各部署のリーダーたちが来た。

その他に、邸近くで仕事をしている子達は皆ここだ。

基本、近場の食堂で食事をする、のだ。


こどもは何度もお代わりするし、日によって食べる量変わったりするので、大体で作ってる。なので、事前にどこの食堂で食べるとか報告などしなくてよい。病的な神経質さを要求するような者は、この世界ではめったにいない。


食堂によって10人20人増えたところで、お代わりの終いが早くなるだけで、問題はない。

なので、邸の食事に3人増えたとかもう誤差ですらない。100人以上いるのだから。



食事を終えて、茶をしている時に、ジョニーは2人を紹介した。

食堂全体に向かって、

「今日から仲間になる、バックス、と、ソラリス、だ。よろしく頼む!」ジョニー

「はーい、何ができるんですかー」魚のリーダー

バックス、答えろ、とジョニーに言われ、


「俺は、、うちは農家だった。畑を手伝っていた。その後村が燃やされ、逃げ出してばらばらになって、このソラリスと冒険者やって採取でどうにか食っていた。だから、今できるのはそれだけ。でも、なんでもやってみたい。」バックス


「私も、ウチも農家で、でも収穫くらいしか手伝わなかった。あとはオウチのこと。刺繍とか縫い物もできます。料理は少しだけ、皮むきとか。魔法は水を出したり、竈に火を付けるくらいです。私もなんでもやってみたいです。」ソラリス


「というわけだ。二人共冒険者やって自分たちでどうにか食うことができていたから、ガッツはある。途中から俺と一緒にダンジョンに潜ったりもしていたからな。」

ざわめいた。


ダンジョンに?

いいなー、俺まだなのにー、

おう、俺だってだぜ?

魔石取りに行きたいなー

いろいろ使えるからなぁ、魔石、、

でも強い人と一緒じゃなきゃ死んじゃうからな、

まぁそうだよなー、早く一人前になりてぇ、

などなど


「うちに来ないか?いいよな?リーダー」

マッハが名乗りを上げた。リーダーは頷いている。

「うん、んじゃよろしく!」何も聞かずに了承するバックス。


「思ったとおりだ、掘り出しもんだろ?」得意げなマッハ

うんうん、と頷くリーダー

仕事が何かも聞かずに了承するなんぞ、自信とガッツがある、もしくは、ユータみたいなタイプか、である。

どうみてもバックスはユータタイプには見えなかった。


ここでナディが名乗りを上げそうなのだが、今日はテイナ達に付いて街の食堂に行っているのでいない。

「ソラリスはうちに来ない?せっかくだからその裁縫の経験を一人前にまですればいいんじゃない?」と被服のリーダー。布を織るところから染色、裁縫、完成まで行う。


「はい、お願いします。」

と、ソラリスも二つ返事。

おおー、、と皆。

速攻で決まった。


生産の方は人はいくらでも欲しいのだ、まだまだ。それがガッツあるのだとなおさら良い。いずれリーダーになりそうだから。

リーダーが増え、班が増えれば、また出来ることも増えていく。子どもたちはあれやりたいこれやりたい、と夢が多いのだ。


2人は、最初は院長の見ている寮に入る。午前は学校、午後から仕事。慣れたら仕事のローテーションに入る。

ここの生活になれたな、と院長が判断したら、そのチームの宿舎に移ってもよい。

もし、合わない、となったら、他のやってみたいチームに行ってみる。


ーー


2人は院長に連れられて寮に行った。



「ご苦労さん、どうだった?どこ回ってきたんだ?」ガンダ

「ああ、そうだったな、、」と、ジョニーは鉛筆で壁の地図に公国を書き足す。


で、鉛筆の尻のほうで地図をなぞりながら、

「こう、北の森から北上していった。こーんな感じでくねくねと、、まぁ、あまり感じのよくない者たちばかりだったが、悪い、と言うほどでもないかな?と俺は思ったけどね。でもドラゴニアには入れたくないレベル。放置でいんじゃないかなー。魔法も昔のままの程度だったし、脅威にはならないと思った。

森などは、それほどのものでもなく、向こうの連中が狩りを出来る程度。狩り尽くすほど小さくもないようなので、良い食料確保場所になっているのだろうと思う。


騎士や傭兵は皆ドーラ達に潰された中にいたようで、野盗になっているような連中は弱っちい。素人しか狙わない様子。

ドラゴニアの冒険者ギルドが向こうに早くできればいいと思う。人間的な教育もやってほしいし。

まぁ、冒険者達もそう悪そうなのは目にしなかったけどな。良い手本がいれば、変わるんじゃないかな?と思える程度だった。


最終的に着いたその北にある公国は、わりかしまともで、もちろんゴンザールには到底及ばないが、指導さえよければかなりいくんじゃないだろうか、と思える。王である公爵は可もなく不可もない程度だと言うから。

で、そこには初心者用ダンジョンがあって、あの2人を鍛えるにはぴったりだった。


ま、こんなところかな?」


と、ジョニーは鉛筆を置いた。


パチパチパチパチ、と皆拍手。


結構大変な仕事だった、とうことは、地図をなぞったあとを見てもわかる。

皆、俺は行きたくないな、と思ったことだろう。

現地がろくでもないから。

同盟になった国ならまだしも、ドーラ達に王家が潰された国はろくでもない国なのだから。


そう言えば、、

「ジョニー、新しい領地の海、行ったことある?」ユータ

「いーや?聞いたこともねぇ、、つか、俺がでている時に領地にしたんじゃないの?」

「多分そうかな?人魚いるぜ?!」ドーラ


「・・・食うの?」ジョニー

「くわねーよっつ!!同盟国だよっつ!!つか、村程度だけどなー」

「物々交換で海産物を持ってくるよ?美味しいよねーあれー」ユータ

ほうほう、、

「行ってみたいね?」

んじゃいくか、、


と、扉をくぐる。




ずざざーん!ずざあざざざあーーん!

波の音、照りつける太陽、屋根のある筏の上のちゃぶ台で、ケーキを食っている人魚達。


「うん、なかなかな光景だな!」ジョニー

「だろう?なんか、おもしろいだろ!」ドーラ、なんか得意げ


「しかも泊まれるぜ?この建物、宿だぜー」

と、今でてきた建物を指す。


「んじゃ、、俺らも向こうの世界でひと仕事終えてきたとこだし、ジョニーも終えたばかりだし、少しここで休暇にしよっか!」ドーラ

「いいね!!」ユータ

「ま、いっかー、、あの2人は、慣れた後、連れてきてやろうか、、」ジョニー

扉が設置されているから行き来はとても楽ちんなのだ!

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