第百二十話 一日目夜、そして二日目、それ以降


他の誰にも出来ない仕事。

ダンマスにしかわからないし、出来ない事。


ダンマスは念の為にダンジョンは最も強く多くマソを発生させるタイプのものを選んで作っていた。

だから最初はかなりマソを注いだ。ダンマスほどの魔力保でも、大半を注ぎ、あの洞窟で朝まで寝てないければ回復しないほどだった。

が、あの大魔法使い、彼がアズーナブルと名乗っていた時代に作ったあの洞窟はすごい能力ですね、とダンマスは認めた。ベテランダンジョンマスタークラスの空近い魔力を一晩で回復させしまったから。

まぁ、向こうの世界からの避難民達を一度に何人も同時に回復させようと思い、可能な限り強いモノにしたに違いないでしょう、と思った。


そのダンマスがムータンに作ったダンジョンが一人前になってから出し始めたマソの大半をダンマスが使っていた。

それでもこちら側の人間たちがマソを得て力を培っていくには充分なほど残り、ユータとドーラが結構使っても、ムータンのマソで間に合ってしまうほど残っている。


大魔法使いがユータ関連で復活できたように、ダンマスも非常な恩恵を受けていた。

昔の大魔法使いを遥かに凌駕する魔力保持量になっていた。

だから「やばいかな?」と思い、しょっちゅうユータの世界に来てはかなり使っていた。


ユータと同じような、異世界を繋ぐ扉を、もし今のダンマスが作ったとしたら、あの時のドーラとユータが受けた程度では済まないだろう。

ただ、これが全て終わったら、このムータン全ての人びとと建物などを全て向こうに持っていけば、ダンマス自身の損耗もかなり行き、当分大きな魔力はたまらず、身体の損耗回復に100−200年くらいはかかるんじゃないかな?とも思っている。

「失敗したら、使い過ぎたら消えてしまうかもしれませんけどね、、」とも。

ひと、ではないダンマス。その殆どは今はマソで構築維持存続されているから。


そんな今のダンマスだ。

こちらの全世界をサーチ圏内にし、全てを遠視範囲内にすることくらい容易だ。邪魔する魔法が全く無いこちらは、丸裸同然だった。


まず、敵側の軍事基地。全て機能停止している。復活の見込みは、、どうだろう?復活させようとし始めたら、もちろん全て消すつもりでいる。これ以降、奴等に軍事力を持たせるつもりは全く無い。


戦争被害は、

軍事関連以外はあまり損傷なし。基地周囲の被害は仕方がない。住民も戦争が有れば真っ先に狙われると知っていて当然だ。その思考できる範囲内で自分の家族を守ることをするのは、動物なら当然すべきことなのだから。

奴等も基本的には核弾頭のミサイルは郊外から発射したようだ。発射したのがそのまま戻って来るのだから、核ミサイルを射てば、それが自分の所に落ちるのだ。二発射てば二発、三発射てば三発戻ってきていた。


黒幕共、消します。ダンマスが、そう思った瞬間。この世界から数万人が消えていた。

彼らの血族、利害関係者、全てで数万程度だった。10万に満たないくらい。思った(100万以上)より少ない。奴等が奴等の身分を高く設定し、それに入れる者を激しく制限していた、と見られる。もちろんカラードは一人も居なかった。


そっちの奴等でも、残った奴等は小物だ。そいつら小物の言うことを聞く者はそう多くなく、今後できるであろう様々な派閥が潰し合い、吸収し合って、淘汰され、小さくなっていくだろう。それが大きくなる隙きは、あと1世代2世代待つ必要がある。

そのときは、機会があったら、また遊んでやってもいいかもしれない。そう思うダンマス。


ダンマスは、そうやって、一つ一つ見回っては処理していった。


ただ、今回敵意をもたなかった連中。

釘をさしておいた。

「あなたがたがあの国の代わりになるなら、私はいくらでも相手しましょう。あなたがたが今のままでいれば、我々は安心します」と。




お米の国。

隅々までクレータができてぼこぼこになっていた。生物の気配は、地中からすらもなかった。

残骸は、かなり高空から降り注いだようだ。燃え尽きなかったようなので、空気のある高さからだったのだろう、とは思った。特に設定せず、高空からとだけイメージしていたのだ。

しかも、発射された核ミサイルの大半はこの国からだ。自業自得ダメージが自国を滅亡させたわけだ。



そして、

この世界の情報ネットワークの要は、あのお米の国にあった。ネット利用に必要なパーミットもあそこでしか発行させなかった。

PCのOSも、あの国で作っていたので、今後更新されることもない。もちろん悪意ある使用者の八割はあそこからだったので、安全度は上がるだろう。

詐欺的サイトは、また別の意味なので、それはそれ。


金融も同じだ。

が、偶然か、事前準備だったのか、ダンマスは「新」と銘打ち、ガラス張りのそれを立ち上げていた。お米の国に加担する以外の国の大半が加盟することになっている。あのとき言っていた数ははったりだったが。


今後は兌換紙幣か、貴金属硬貨現物が流通し始めることだろう。でないとダンマスは取引しないので。新世界銀行の業務内容は、旧から比べれは悪意・利権の部分は無くなった。広い意味でメンバーに自助努力をさせるだけ。でもダンマスが認めたところにはダンマスが手を貸す。


もちろん金銀銅は投機対象から外し、ダンマスが決めた数値を維持させる。貨幣の価格は維持される。そんなことは基本中の基本だったのだ。

あとは、「今までのような詐欺をしたら、其の国の経済は完全に潰されるでしょう」と警告しておいた。

なので投資に対しても、根本からほぼ180度変わるだろう。


とりあえず、金融・軍事・経済において、悪意を持った者達がのさばることがしにくいようにしていく。

なので、今までのが常識だと思い込んでいる者達にやらせない。常識はほぼ180°変わるのだ。


メディアでも、その者の心に悪意の根が見えたら、その者は消える。治しようがない病原菌は、その感染が広まる前に消すしか無い。

どれだけ生きてきた、存在してきたのかもうわからないほど長く存在し、魔獣だけではなく人間もずっと見てきたダンマス。たかだか70−80年しか生きられない矮小な生き物にはとても及ばぬ次元で、見て、考えているだろう。


「もし、”残す”としたら、何が一番大切なのか、くらいわかる者達だけですね」

と。

「ただし、ひとつひとつ選っていることなどできません」

とも。


大魔法使いが、元の世界が崩壊しそうなときと同じ”選択”だ。

なので、ムータンは残す、あとはどこにするか?と、いうようになる。


「多分、貴方方が言う”神”というものがもし存在するのであれば、それが貴方方に与えた恩恵は、生まれる、という機会を皆に与えた、ということでしょう。それ以上求めるのは、それこそ分をわきまえろ、ですねw」


世界をほっつき歩いているときか日本にいるときかしらないが、どこかで言われたのだろうか。

桁が違う上位存在を理解できないひと種の中の基準ではかなり低レベルの生き物に言われたんだろう。

それでも真理は真理として受け取れていた。



ーーーー 二日目以降


ダンマスは

「我が国は専制国家です。我が国に入国する者、それがどこの誰だろうと、甘えは許さない。心して入ること。」

と、世界に”触れ”を出して、開国した。


国民はいまのところ、ムータンのダンジョンから連れてきた魔獣、魔人のみ。もちろん皆言語を解する程度以上のものたち。

そして、ここに、空港はない。

港もない。


公共の通信で、”ダンマス王国に入国許可を求める”、と放送していると、数日内に返事が来る。

許可を求めた者の脳内に。

そして、その翌日、許可を与えられた者だけが、ダンマスの転移で入国させられる。警護等は許可されない。


周囲は魔獣・魔人だらけ。

一番最初に来た、他の国よりはかなり安心して来た寒い国の大統領と大臣達さえも、中には気絶したものが居た。


だが、その大統領と外務大臣だけは、疑問が氷解したような顔だった。




だよな?あれだけのやりよう、、地球上のではない何か、としか思えないもんな!w

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る