第九十一話 上空より


翌朝、皆の朝食が終わってから、ユータはお客さん達を上空に連れて行った。

転移ではなく、飛んで行く。そのほうが徐々に高くなっていくのがよくわかり実感できるだろうと思ったから。


「バリア張っているから大丈夫ですけど、温度だけは幾分寒くなりと思います」ユータ

皆にはウチの防寒着(主に熊や狼など大きい獣の毛皮そのままにちかい)を着てもらっている。

獲物と間違われないように、耳に蛍光色のリボンを縫い付けてある。


どんどん上昇していく。どんどんどんどん、、、


なんか、数人ずつかたまってがっしり抱き合うとか組みあうとかしている、、、

「落ちないから大丈夫ですって!」

そう言っても、でも、皆の目は怖いと言っているだけ。


「まぁ、そんなこた無いけど、もし落ちたら俺が拾うから大丈夫だって、俺、飛べるドラゴンだから♪」

余計怖がる皆。


かなり上空になり、彼方がまーるく湾曲しているのがよくわかるくらいになった。


「足もとがドラゴニア。あっちの日が登っている方角がゴンザール。んで、あっち、が、ラットビア、リターニャ、イスターニャの方角です。自国が見えるでしょう?」ユータ


「さっぱりわからん、、、」と言う声が、、、


ふむ、、

シュン!

「ここがゴンザール上空です。あそこが王宮。」

ゴンザール上空500mくらいかな。かなり低い。さっきは1万メートルくらいあったのかな?


シュン!

「ここは、ラットビア上空ですね。僕初めてだけど、、、あれが王宮かな?」


シュン!

「ここはリターニャ上空。ああ王宮あれですねー」


シュン!

「ここがイスターニャ上空。もう空からの景色に慣れてきましたね、王宮はあれですね!」


シュン!

「お疲れ様でした!!」ユータ

ドラゴニア王宮(仮)の邸の庭に帰ってきた。


やっと地上に足が着いたので、皆そこにへたり込んだ。

皆を促してリビングに行き、厨房の子にお茶の用意をしてもらい、皆休憩。


「かなりキタみたいだな?」ドーラ

「そうだねぇ、、ぼくらの最初んときはそれどころじゃないかったもんねー」

「そうだなー、領地にちょうどよいとこ捜索とか、ここの周辺域捜索とか、仕事だったもんなぁ」ドーラ

「音速突破したりね!」

あっはっはっはっは!!


「あの、、音速とは?」

「音の速さです。いーち、のあいだに大体370m、、、、一里?こっちの単位って何?」ユータ

「ああ、、、、、ガンダ?距離の単位って何?」

「ウマイル。馬が一日で走る距離が1ウマイル。その100分の1が、ミニウ、そのまた100分の1がプチウ。」

話を訊くと、馬車でフツーに日の出から日の入りまでみたいで、、70キロから150キロくらいな曖昧な感じだった。

なので1プチウが7mから15m間取って10mとして、、37プチウが370m


「いーち、という間に37プチウくらい進む速さです。それ以上の速さになると、音より早くなるんで空気が爆発?する感じになっちゃうんです。音の速さを越えた瞬間に。」ユータ

「あー、あれすごかったな!あれで数カ国の大軍一気に殲滅できるよな」ドーラ


「・・・飛ぶだけ、で?」

「おう!あれは余裕でできるな!」ドーラ

・・・・・・・・・・


「まぁ、よくわからないけど、、イザという時にはとても力強い同盟に入ったということはよくわかりました。」

とは、イスターニャ王ウンゲルン。

皆うんうんうなずく。


んじゃ、地図に書き込み宜しくって、あとをガンダ宰相に丸投げしてドーラとユータは外に出た。



「なんか、同盟国増えて、ボク、安心感が増した気がする」ユータ

「だろうな。まともな者達が治める国が他にある、というだけでもかなり良くなったろ?ゴンザールのときとか」

「だったねぇ、、あれは、あとから感じたけど、嬉しかったし、安心した。特にジョニーさんみたいな人が居て、そういう人が好きな国だからねぇ」


「ま、もし世界を敵にしてても、全てを滅ぼしてやてったけどな♪」

・・「ドーラはやりそうだからなぁ、、」

「あ?ユータだってやるだろ?皆ゲスザンスみたいな国だったら。」

「ああ、あーゆーのだったら気軽に潰すけど」

気軽に、、、



などといいながら、通りを噴水の方に向かって歩いていた。


「あ、ユータとドーラだ、、自転車また持ってきてよ!」

と、貸自転車屋の子。

「あ?なんだ、最近人気出てきたのか?ついこの間までほどほどだったのに?」


「あっはっは!そうさ!なめんなよ!改造マシンで大人気さっ!!」えっへんしている子

見ると、店の前にリアカーみたいのがいくつか製造中?


詳しく訊くと、なんかユータが荷運び用に持ってきた一輪車やリアカーを参考になにかできないか?と考えたらしい。皆暇だったので。

で、自転車でリアカー曳いてみたら、結構載せてもそうきつきないと感じた。

「魔法使うより手頃なんじゃね?」

「ああ、特にダンジョン側の店ならほとんど魔法使えないお客だからな」


ということでやってみたら当たっちゃった、ということらしい。

で、ユータの持ってきたのを借りて参考に作った。こっちの店は暇なので制作することになったという。

確かにこっちの店には三種類各種一台つづしかない。全部で一〇〇台ずつもってきてそれぞれ一〇台を貸自転車にしていた。残りはもう各部署に取られて皆が便利に使っている。


どのくらい欲しいか聞き、今度行った時買ってくると約束した。

「ドーラ、覚えていてね!」ユータ

「俺かよ!!」


元々3輪自転車もあったが、あの荷台じゃほとんんど載せられいないからな。安定しているから自転車初心者にいいけど。


そのまま歩いているとふとん屋さんが目にとまる。

今は主に羽布団と敷布団を作っている。畑で綿花を採るようになってから敷布団ができるようになった。ふとん屋の裏に工場が在り、綿花を煮る窯や干場、ほぐしたりする作業場などがある。


羽布団のほうは、ユータが向こうから持ってきたアヒルを繁殖させてる堀のチームが、アヒルを締めるときに羽を集めてくれる。数はそう多くできないけど、国内皆に行き渡るのはもうすぐらしい。


あひるは数が増えやすいし、今はかなり増えていて、その卵も半数は食用にできるほどになっている。

アヒルの管理班は養殖チームの一部になっている。

皆自分たちで他のチームや班と話をしていろいろやっている様子だ。


噴水から先はまだ建物があまりできていない。

これからチームが、班が増えれば、またこの先にも家や店を増やすだろう。


店はその多くがダンジョンの街の方に支店を出して、そっちの売上が大半になっているようだけど。

でも皆は「国内優先」ということをわかっているので、まぁ安心だ。


「世界が全て敵になっても、おれらだけで生きていけるから」と、全員が自負しているのだ。


元孤児達だからね。心はものすごく強い。

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