第八十二話 対人戦
ガンダ達は北の森の北側にドーラが掘った谷間のこちら側にいた。吊橋のこちら側。
談笑している風を装って、焚き火を興してその上にケトルを乗せ、茶を沸かしている。
ジオが強化された探査魔法で橋の向こう側半キロ圏内くらいに”潜んでいる”生き物をサーチしている。
時折、空がキラリと光り、何かが一瞬森の中に落ちたように木の枝がパサリ、ガサッガサッと小さな音を立て、その後、ドサ、と何かが倒れる小さな音がジオの強化された耳に聞こえる。
いっときくらい後、
「茶も無くなったことだし、行くか?」ジオ
「おう、ご苦労さん、終わったのか。助かるわ、、、でもいつの間に?」ガンダ
「俺だってテイナやニヤに置いてきぼり食らわされたままで黙ってるわけ行かねーからな、、ダンマスにさ、」
「いきなりダンマスかよ、、」
「あー、少しハードだったがな、、」
ニヤがダンマスのダンジョンに通った時を思い返すと、少しハードとかゼッタイ嘘だ!と思うガンダ。超ハードだったはずなのだ。
「俺らには時間はあったろう?」ジオ
「ああ、寝る時間を削ればな、、」
「ジオさん、帰ったら、俺に今の魔法教えてくださいよ、、」ジョニー
「ああ、ジョニーならすぐ覚えてしまうだろうな。なら、今度ダンマスに教えてもらう時、一緒に行こうか」
「よろしくお願いします。」
ザクはそれを聞いて自分ももう少しなんかしようかな、と思っていた。ザクはずっと畑や養殖の子たちを育てるのに集中していた。
橋の周囲が安全になったので、向こう側に渡る。
向こう側の森はそう深くない。大部分をこっち側にしてしまったから。
それでも魔獣や猛獣はいるから通常は警戒は必要だが、今回は生き物は全てジオが仕留めている。
広範囲サーチだったので、正確に獲物を見分けることができなかった。まだそこまでの技量はなかった。だからジオは全て仕留めていた。
勿論道を歩いている者はそのまま放置したが。
「あそこと、あそこ、あそこ、俺はあそこに行く、」ジオが暗い森の中に、魔法でマーカーを浮かべた。仕留めた獲物の上に。
それぞれが各自獲物の場所に散る。
ずるずるずる、、と皆が仕留められた獲物を引きずってくる。
4体、傭兵らしき装備の者達だった。対人と対魔獣では装備が少し違う。対魔獣ならば、ベテラン冒険者の方がかなり上手い。が、冒険者はほとんど対人戦はしないので慣れていない。傭兵にしてみれば素人の鴨だろう。
獲物を引きずりながら、次の場所に行く。
また集め、次の場所に行く。12体の獲物になったので、
「一度、向こうの外に積んどくわ、、」と、ジオが12体の傭兵を転送魔法で森の小道の出口に送った。
また、獲物拾いを再開。
結局32体の傭兵と、1体の虎系魔獣を拾った。
魔獣はジオのストレージにぎりぎり入った、でかかった。
「見ない魔獣だけど、食えるのかなぁ?」ガンダ
「ネコ系だろ?多分うまくねーんじゃないかな?」ジオ
「ああ、でも干し肉とかにするんに漬けてみたらどうだろう?なんか栄養はありそうに見えるがな、、」ザク
そこらへんは食堂チームに頼めばいいか、となった。
で、
森の小道の出口にその死骸を並べ、
ジオが木で立て札を作り、ガンダが字を書いた。
「この者達。冒険者ギルドに雇われ、ドラゴニアに入ろうとする冒険者達を殺害してきた犯罪者である。征伐し、ここにさらし者にする。
我が国に敵対した冒険者ギルド。その我が国に対する宣戦布告を我が国は受け取った。今後、冒険者ギルドは我が国の敵である。
その敵に寄与する者達も敵になるので、覚悟しておくように。
なお、我が国の敵である冒険者ギルドを離れ、我が国に平和的意思のみを持って入国する者達は、冒険者であろうがなろうが、我が国は受け入れる。
だが、悪意あるものは入国を却下される。
ドラゴニア国 王宮」
その後、4人はもう少し探索範囲を広げてみたが、それらしき者はおらず、魔獣数体を狩っただけだった。
橋のこちら側に戻り、ジオが少し滞在してみることにした。ジョニーも滞在して教えてもらいたい、とジオに。ジオ了承。
ガンダとザクは、北から来た者達の話を聞いてみたく、北の森の街に行く。
ーー
ドラゴニア北側の峠
モモンガ達がドラゴニアに入って来る冒険者や一般人達を見ている。
時折、シュン、と風切り音を立て消える者がいるくらいだ。皆そのまま入国していく。
「あ、あんた!」とモモンガA子が、一人の若い娘を掴まえる。
「なによ!」娘
「あんた、性格直さないと苦労するよ?」モモンガA
・・・・・・・・
「何、言っているの?」娘
「いや、、この性格を、入国させたら、、まずいかな?」こて、とモフ首を傾げるモモンガA
「あんた、モフなのに、いい性格しているわね?」娘
「うん、性格いいよ。皆そう言う」モモンガA
・・・・
「じゃどーすんのよ」娘
「どーする?」モモンガA子が、モモンガB子に訊く。
「ダンマスに引き渡す?」モモンガB子
「それがいいはず!」モモンガC子
船長はオス設定なのになぜかこっちは皆メス設定だった。
その性格が問題な娘をしばしここに押しとどめるモモンガ3人。
絨毯を敷き、茶を出して、パン(ふくらんでいないパンケーキみたいなもの)を与えてくつろがせた。
その間もしっかりと、通っていく者達をチェックし、へんなのは飛ばしている。
「人が消えるのは、なんなの?何してるのよ」娘
「あー、悪意ある者は飛ばすの。どっかに」
「どっかって?」
「・・・どこだろう?」A
「・・・しらない」B
「・・・・遠くだよ」C
「・・・・・・・・」娘
まぁ、モモンガだし、、と納得しようとする娘。
峠を降りた者達は、標識によって皆ダンジョン側の街に誘導される。所々に年長の子たちが配置され、勝手に国内に入り込まれないようにしている。まぁ入っても速攻バレるからね。なにせ国内全員顔見知りなんだから。
峠の北側。峠を降りた地点にユータ達はいた。
森もなく、平原が広がる。その中にまっすぐ向こうからこっちへ、細い道が通っている。
以前はなかった。
少なくとも、ユータとドーラが最初にこっちに来たときには道など見ていなかった。山の向こうに行く者などいなかったのだから。
だが、人びとが北からドラゴニアに入るようになって、その跡が道になったのだろう。
北側の最後の村の畑が終わった所に検問所を作っているらしい。
そこに人だかりができ、そこからぽろぽろ漏れた人がこちらに逃げてきている。
「どうする?」テイナ
「乱入にゃっつ!!!」ニヤ
「最初は話してみるのはどうかな?」マキ
ということで、てくてく歩き始めたらえらく遠いので、ユータが皆一緒に飛ばした。
「あー、ひとの魔力で飛ぶのがこんなに楽だったなんて!!」テイナ
「ほんとにゃ!!楽チンできもちいーにゃっ!!!」ニヤ
「いや、俺もそう思ってたけど、そう露骨に言えなかったな、、、」ドーラ
マキは、テイナ、性格かわったのかな?と思った。以前はもうちょっとこう、、遠慮を知ってた?w
検問所の所にいた人間は皆呆然としていた。
そりゃそうだ。今までだったら、空を飛べる魔力を持った者なんぞ、そうそういるもんではなかった。
だからこそ、以前向こうに居た時はユータが教会や領主にゼッタイ狙われると警戒していたのだから。
だから今は、ユータどころか、、ドラゴニアの国民達は、、、そっからかなりかけ離れている?
「あれ?軍じゃないよな?」ドーラ
「あー、この検問所の責任者いるか?」マキ
・・・・・・
「・・俺だ、、何の用だ、この国に喧嘩売る気か?」
と、居丈高になる、、、傭兵?
「・・・あんた、傭兵だな、、国と関係ないだろ?」マキ
「そうだよ!さきから皆そう言っているんだよ!こいつらに止める資格なんかないんだから!!」
「俺達は国から命令されて来ているんだ!」傭兵
「んじゃ、命令書、見せてみろ」ドーラ
固まる傭兵
「ほら嘘じゃん。皆、通っていいぞ。俺が許可する」ドーラ
わーーー!!!と一斉に駆け抜ける人びと。
しゃらん、と安っぽい音を出してしょぼい剣を抜く傭兵たち。10人位か、、
「誰がやる?」ドーラ
「ボクいこうか?皆殺していんだよね?」ユータ
いつからユータがこんな子になったのっつ!!!!(ドーラ)
「ニヤがこの拳を試してみたいにゃ!!ドラゴンをも沈めたこの拳っつ!!」
高々と拳を揚げるニヤ
「まじ?ローラを沈めたの?」
「・・・ローラはゲロ吐いただけにゃった、、翼竜をぶち殺したにゃっつ!!一発にゃ!!」
なんだ翼竜かよ、、でも一発はすげーな、、(ドーラ)
「ボクも最近ダンマスに魔剣教わったんで、こいつらで試し斬りしてみたいんだけど」マキ
「それ言ったら、私だって、中から爆発させる魔法開発したんで、あいつらの頭や腹を中から爆発させるのを試してみたいわよ!」テイナ
、、、、どこからそーゆー発想でてくるのかな?そしてまじ開発しちゃうのかな?意味ねーよね?スプラッタなだけだよね?
「じゃーんけーんぽい!!」
勝ったテイナが「お待たせ!」と振り向くと、もぬけの殻、、、ただ風が舞うだけ、、ひゅーーー w
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