第六十四話 ダンジョン入り口の街(ドラゴニア)
日本から帰ってきた。邸の自分たちの部屋。
「向こう時間だと、ほぼ毎晩こっちに来てるなぁ、、、」ドーラ
「うん、、こっち、まだ忙しいからねー」ユータ
ダンマスは、んじゃまた!シュタッ!!っと、どっかに消えていった。
「・・・・・いや、帰ってくる時間がほとんどかわらんので、向こうに一ヶ月いたって変わんないんだぞ?」ドーラ
・・・・・・考えるユータ、
・・・・・・もっと考えるユータ
・・・・あ、なんかニタニタしだしたユータ、何を考えている?何か思い出し笑いか?
・・更に考えるユータ、、難しい顔をしだし、、
「そうなの?」
・・・おめー、今の時間使っておつむで何していたんだ??!!とつっこみたいドーラ。
「ま、ユータにはこっちの方が面白いし居心地いいんだから、気持ちはわかるよ。俺も、、住むとなると、やっぱこっちだな。向こうは遊びに行くにはいいとこだよな!」ドーラ
なんかそう言われると、あーなるほど、自分でそう感じているだなぁ、、と思うユータ。
なんか、、、そう
向こうとこっち、2つの世界を知ったから、比較ができるんだ、今。
当たり前だと思っていた向こうが、なんか息苦しく感じるのは、こっちの世界を知ってしまったから。みんなを知ってしまったから。
「そういうのを、開放された、って、いや、、解放された、かな、と言うんだろ?」ドーラ
「あっちじゃまだマシな奴な市にしたって、苦しそうな顔で生きてんじゃん、笑っててもさ。
ユータのとうちゃんかーちゃんだって、社長やU子おばさんと話してるときゃ、似たような顔になってるだろうよ。」
そうかな、、
「ユータ、おまえ、今はいい顔になってるぞ。俺と出会った最初はまだビビりまくってる子供って感じだったからな。おまえならいーように操れるかなー、って思ってさ、ユータにのっかってけばおいしい毎日だろうとか思えたんだよww。でもおまえ、みんなに、、、いい奴等に出会えて一緒に暮らせて、今では一人前のこっちの者になってるぞ。」
え?そうお?ふーん、、、えへへへ?まぁ、、毎日大変だけど楽しいしぃ、、、
「ダンマスが言っていたな、その楽しい大変さってのが宝だってな。他に代えがたいものであれば、おまえにとってそれはホンモノだ、って。」ドーラ
どういう意味かよくわからないけど、、なんとなく、わかる気がする。いまのがそうだって。
と、思ったユータ。
あ、でも、他の人、向こうの市さんとかタカとか、、
「そうでない場合は?どうすればいいんだろう?」ユータ
「代えればいい。どうせ大変なら、もっとマシな、自分がより身持ちよくできる大変なことに代えればいい。もっと大変でも、それがまえのより気持ちよくできるのであれば、そっちのほうがそのものにとって良いもなのは明らかだよな。そっちに代えればいい。それを探せばいい。それだけのことなんだよ」ドーラ
こっちを知らばければ、、と一瞬思ってしまった。
その感じは恐怖としか言いようがなかった。
「いや、、ユータ、、お前がこっちの世界に来るのはたまたまじゃないと思う。きまっていたことだと思うぞ。」ドーラ
そういうこと、あるのかな?まだドキドキしている。
「・・・んじゃ、俺らができること、やりに行くぞ!」ドーラ
「うん!」
まぁ、夜だから寝たけど。
ーー
「中間地点に街、作っとこうか。ドラゴニアとゴンザールの共同の街ってのはどうだ?」ドーラ
「いいね!みんながいいって言えばいいけど、、、」
「反対する者、いないんじゃね?もし反対しても、ドラゴニアにしちゃえばいいだけだし」
「そうか、そうだねー」
ドラゴニアとゴンザールの間の地帯には、ゴンザール側の広大な荒れ地の手前、つまりドラゴニア側には広大な森がある。猛獣や魔獣もそこそこいる。
魔力もそれなりに篭っている森。
なので、採取できる植物も多いと思うし、それなりに強い魔獣もいるだろうし、それに対抗できるような猛獣もいるだろう。
満月ひとパーティのみでは厳しいレベル。ベテランに入った冒険者達、ジョニーまでとはいわないが、銀月レベルでなければ行きていけない森。
荒れ地に接している地帯というのはそうなるのだろうか?
「あれだ、ゴンザールの森で余裕になったら、こっちに来りゃいいんだよ。ちょうどいいレベルだろ?」ドーラ
「そう言われれば、そんな感じみたいだねー」
ユータも気配だけでそれがわかるようになっている。
北部の山からの川が流れている場所が在るので、そこに小さめの街を作り始めた2人。
ーーーーーー
さて、
ユータ達が以前いた場所。そう、ダンマスのダンジョンのある森の端。
そこにそこの領主が宿を作っていた。
客は居ない。
最初従業員は20人位いた。
その頃、冒険者たちは「あの宿が再開した!」と勘違いして泊まりに来た。
が、飯はまずく量が少ない。従業員は偉そう。以前と全く違うので、訊くと「領主様の経営だ、ありがたいと思え」と、従業員。
それがあっという間に冒険者達の間にひろまり、買い物をする者すら居なくなった。
毎月売上ゼロ。
領主は怒って従業員を3人まで減らし続けた。
その3人は食材など仕入れては自分たちで食べるだけで、余分なのはギルドに売って酒代にしていた。
「宿があるうちは俺らは楽ができる」とばかりに。
また、領主は「ダンジョンの入り口から遠いからいけないんだ」と思い、ダンジョンの入り口脇にも宿を建てさせた。
完成直後に魔獣に襲われ壊滅。
んでは、と、頑丈な塀と警備兵に囲まれた宿を作った。
完成数日後の夜、いつの間にか警備兵は全員寝入り、宿は影もかたちも無く、、杭一本残さずキレイに消えていた。
そして同時に領主の邸の塀が全てキレイに消えていた。
領主はビビって、森の入り口より中に手を出すことはやめた。
正解である。なぜかというと、
それでもなんかしてきたら、今度は領都の建物全てを貰っちゃうつもりだったんだよね。
と、後日、夕飯時に皆に楽しげに語るのだ、ダンマスは。
銀月満月が最初に買った邸。その後孤児院となり、今は誰も住んでいない無人の邸跡。
どっかの金持ちが、元孤児院で今無人、その前は冒険者上がりの者達の者だった、と知り、
「んじゃ奪っても問題ないな」と大工など大勢連れて乗り込んだ。
が、
完成寸前、そこから出てきた者はいなかった。入ったが最後、出てこないという。
その後、また別の者が同様のことを考え、「出てこないなんてホラだ。資金不足で
逃げたんだろう。」と勝手に決めつけ、同じようなことをして・・
そういうことが続いた。
でも、
浮浪児達はそんな話を知らず、塀の崩れたところから中に入り、鍵がかかっていなかった窓から中に侵入し、少なくとも寒くはない室内で過ごしていた。
そう、その子どもたちは出入りができている。
誰もそんなことを知る由もなかったが。
では消えた奴等は?
「一部はダンジョンで強制労働。死んじゃってもダンジョンの魔物の下っ端として働いてもらってます。」
「ムダがないんだなぁ、、」ドーラ
「「あっはっはっはっは!!」」2人
「で、他の奴等は?」
「ああ、ものすごい遠くに放り出して、、泳ぎがうまけりゃ生きているんじゃないでしょうかね?サメを倒せれば。」
海に捨てたのか、、
「「あっはっはっはっは!!」2人
と、これまた夕食時の食堂。
「すみませんね、うちの空き地まで見てもらってて、、」ガンダ
「いえいえ、ドーラとユータの面倒見てもらってますから、私にとっても仲間ですから。」
そのダンマスの言葉は、皆にとってなんかものすごく心強いものだった。
そらそーだ。ドーラだけでもすごいのに、その親だからな。
「いつの間にか、ユータがダンマスの子になっている件」ドーラ
「あっはっは、細かいこと気にするとハゲますよ?」ダンマス
ドーラと兄弟なら、アリだね。と思うユータ。
ユータ、一人っ子だった。
ガンダ達が帰ってきたのは、ドーラとユータが中間の街を作り終えた翌日。
ゴンザールの王様と領主様も来た。
で、
主だった者達と非番の者達、手のあいている者達と一緒に「ダンジョン入り口の街」を見に行った。
そこで、ドーラがダンマスに助けられながら説明。
途中で理解した王様が、とてもいい仕組みだと肯定してくれ、ほかの者達はよくわからないが、ダンマスと王様という国にかけては最も良く知っている2人が肯定するんだからとてもいいことなんだろう、と、そっちですすめることにした。
ダンマスは身内だから王邸に部屋があるのはいいとして、
「この街に離宮作ってもいいんじゃね?」とドーラが提案。
噴水ロータリーから山側のほうの少し登った眺めのいい場所を、
「王様と領主様に永久貸与ね。うちの国の土地だから他国の人に買わせるわけにはいかないんだよね、悪く思うなよ」ドーラ
王様と領主様は「すぐうちから大工隊を呼び寄せる!」と口々に。
「あ!悪いけど、ウチの子たちも見習いで何人か使ってもらえない?大工仕事覚える機会無いんだよね」ドーラ
喜んで了承された。
ついでに、「他の仕事や、上級学校もあるから、いくらでもうちの国によこしなさい。うちで一人前になるまで面倒みよう」と王様直々に言ってもらえた。後日、ゴンザールの宰相とガンダがそれらを含んで色々話すために会うことになった。
ジョニーが、他の国の孤児達もどうにかならんかな、、と遠慮がちにつぶやくと、
「ああいいぜ!なあみんな、どうだ?!」ガンダ
「「喜んで受け入れるぜ!!」」と口々に。
話を聞くと、ジョニーがゴンザールにたどり着く前に寄った国々は、大なり小なり孤児はおり、やはり立場、環境は最低だったと。
院長先生が各地の孤児院と話をつけてみると名乗り出たので任せた。勿論皆が助けながら進めていくだろう。
あと、大通りの商店などは、やりたい者達が自由にやっていいことになった。
ゴンザールから来る者は、王様か領主様の紹介状があれば、店もしくは土地を貸与することとした。
街の警備はドラゴニア国内なのでドラゴニアが行う。魔獣や猛獣に関しては、まずドーラのブレス跡から中には入ってこないだろうとダンマスが言った。
「あと、街の警備はウチの子達にやらせましょうか?得意なの多いですよ?」ダンマス
「・・・あの、人を食べたりしませんか?」相変わらず直球で聞けるユータが羨ましい皆
「だいじょうぶ!!草食系の子たちを人間に変態させますから!見習いの子達をつけてもいいですよ、いろいろ勉強になり覚えるでしょう?」ダンマス
ユータがガンダを見る
「・・まぁ、、やりたい奴がいれば、、お願いしたい、です、、?」
なぜ疑問形?
手空きで来てた子達の中から数人が名乗り出た。
「では、まず最初に君達が見習いになってくださいね。数日後にウチの子達を連れてきます。」
などといろいろ話は進んだ。
中間の街は、この入り口の街がある程度きまったら、そっちに見に行って、また、いろいろ決めよう、となった。
ドラゴニアは、ゴンザールと国交を結び、一挙に人口が増え、国らしい国になっていくことになる。
それまでは何人いようと、一家であった。家族しか居ない国であった。
これから一気に変わっていく。そういうことを、そこにいた小さい子達も、なんとなく感じ始めた。
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