8 セラ、意に添わぬ相手に体を許す2《聖女たちSIDE》

 その日の夜――。


「へへへ、あんたらが名高い聖女パーティか」

「綺麗な顔してるじゃねーか」

「有り金全部よこしな。もちろん、お前らのこともたっぷり可愛がってやるからなぁ……ぐへへへ」

「ゲスね」


 セラは周りを囲む男たちを見据えた。


 全部で五十人くらいだろうか。

 野盗たちだ。


「だから、町に宿泊すればいいって言ったのに」

「ま、いいじゃない。たまには野宿するのも。魔王討伐の旅を思い出して、さ」


 と、マリンが笑う。


 そう、彼女の提案で今日は野宿になったのだ。

 そして案の定というべきか、野盗が襲ってきた。


「けど、『聖女パーティ』って言い方はうなずけないね。あたしたちは『勇者パーティ』よ」


 マリンが聖剣を抜いた。


「うーん……見た感じ、いい男はいなさそうだね。よし、全員倒そう」

「もう、マリンさんったら。こんな状況でも殿方の品定めですの?」


 呆れたようなエルザ。


「マリンらしい。オールタイム肉食」


 シーリスが淡々と言った。


「ここはあたし一人で十分ね。いくよ!」


 聖剣を手に飛び出すマリン。


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ……!?」


 野盗の悲鳴が響き渡る――。




 周囲は血の匂いでむせ返っていた。


 野盗たちは一人残らず、マリンによって斬り伏せられた。

 あっという間の全滅である。


 さすがは女勇者だった。


(ああ、久しぶりだ)


 セラはそう感じた。


 魔王討伐以来、各地で歓迎され、パーティでもてなされ――こういう『戦いの場』の空気を忘れかけていたのだ。


「ふうっ、やっぱり戦いは気持ちいいね」


 返り血をぬぐいながら、マリンが振り返る。


 上気したその顔は――同性のセラが見てもゾクリとするような凄艶な色香が漂っていた。




 翌日。

 セラたちはふたたび進み、やがて目的の町にたどり着いた。


 事前に教えられていた裏路地を通ると、その店の前までやって来る。


 大陸最高レベルの占術師バラッドの店である――。

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