6 妖怪からのお礼

「あなたにはなんとお礼を言っていいか分かりません」


 人間の姿を取り戻した妖怪が、俺に深々と頭を下げた。


 ちなみに清楚な黒髪の美人である。

 年齢は三十歳前後くらいだろうか。


 とても、さっきのグロテスクな妖怪と同じ存在とは思えない。


「元に戻れてよかったよ」

「はい。すべてあなた様のおかげでございます」


 彼女は地面にひれ伏した。


「いや、頭を上げてくれ」

「申し遅れましたが、私はキキョウと申します」


 と、顔を上げて名乗る彼女。


「俺はロメロ・ティーゲルだ」

「スミレ・ブラッドベル」


 俺とスミレも名乗り返す。


「何かお礼をさせていただけないでしょうか?」


 キキョウが言った。


「お礼か……」

「たとえば、私の体でよろしければ存分に――」


 ……なんか、それ系のお礼が妙に多いな、最近。


「またロメロがデレデレしてる」


 スミレの表情がわずかに険しくなった。


「いや、してないぞ?」

「してる。鼻の下が伸びてる。超伸びてる」

「伸びてないって………………伸びてるかな?」

「かなり」


 スミレが力説する。


「絶対欲情してる」

「い、いや、俺はだな」


 こんな清楚美人から誘われたら、エロいことを一ミリも考えないのは無理だろう……。




「まずはくノ一の方々に大変なご迷惑をおかけした詫びをしなければなりません。私を忍びの里まで連れて行っていただけませんか?」


 キキョウが言った。


「忍びの里か……」


 さすがに俺の一存で『連れて行く』とは言えないので、スミレの方を見る。


「どうする?」

「ん。大丈夫」


 即答だった。


「いいのか? 機密とかそういうのは――」

「どうせ、里の場所も全部バレてる。この人には」


 と、スミレ。


「え、そうなの?」

「あ、はい。妖怪状態のときに里を襲ったこともありますし……」


 キキョウが申し訳なさそうに言った。


「また妖怪に変化しないとも限らない。監視させてもらうぞ」

「少しでも怪しい動きをしたときは……分かっているな?」


 と、くノ一たちがやって来た。


「ええ、もちろん」


 キキョウは深々とうなずく。


「じゃあ、みんなで戻るか。忍びの里へ――」


 長の依頼をこなしたし、これで『鍵』についてもっと詳しいことを教えてもらえるだろう。



※ ※ ※

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