5 呪いの解除方法

「危ない!」

「お逃げ下さいませ!」

「ここは私たちが!」


 くノ一たちが飛び出していく。

 奴を引きつけて俺を守ろうという動きだ。


「いや、どっちかっていうと君たちの方が危ないぞ!」


 俺は慌てて走り出した。

 彼女たちの前に出て、奴を吹っ飛ばさなければ。


「間に合うか――」


 自問しながら全速力で走る。


 ……いや、俺のスピードの方がわずかに遅い。


「このままじゃ、骨の群れがくノ一たちに――」


 そうだ、俺が間に合わなくても、命令すればいいじゃないか!


 ふいに思いついた。

 慌てて、そんなことに気づかなかった。


「【すべての骨は動きを止めろ】!」


 俺は思念を放った。


 びくん――。

 とたんに骨全部が一度痙攣した後、凍りついたように動かなくなる。


 お、上手くいったか。


「今のうちに逃げろ!」


 俺はくノ一たちに叫んだ。


「は、はい……」


 彼女たちは骨群から離れる。


 俺は前に出ると、動きを止めている骨群を見下ろした。

 足下には巨大な髑髏がある。


 黒い洞窟のような眼窩が俺を見ている気がした。


 正直ゾッとしない。


「さっさと終わらせよう。今から後始末だ――」


 ふうっと息をつく俺。


「呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル呪ッテヤル……」


 消し飛ばすか。


 ……いや、待てよ。

 こっちの方がいいな。


 俺は別の方法を思いついた。


「【浄化】」


 そう、俺はこいつを『清める』ことにしたのだ。


 奴の正体は呪いが実体化したもの。

 下手に消しても、どこかに姿を現して、また厄介なことになるとも限らない。


 呪い自体に効力を完全に無力化するのが一番だろう。


 つまり――浄化だ。


 髑髏の顔はサラサラと溶けていき、満足そうな女性の顔へと変わり、それもやがて溶け消えていった。


「浄化完了、ってとこかな」


 俺は満足してうなずいた。

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