第7章 超越者のルーツ編

1 里長の話

 俺は里長から『超越者』の伝承を聞いていた。


「『世界の最果て』に行きつく方法ですが……どうやら鍵があるようですな」

「鍵……?」

「コノハ様はその鍵を使い、『世界の最果て』に行ったようなのです」


 俺の問いに答える里長。


「そこで何を見たのか、あるいは何かを得たのか、失ったのか……それは分かりません。ただ帰ってきてからは、この里のために尽力し、生涯を終えました」

「俺は……何かを得たいっていうより、ただ知りたいんだ。俺の力のルーツを。それは、俺が昔から夢見てた『冒険』のような気がする」


 俺はスミレと里長に言った。

 言いながら、ちょっと照れてしまった。


「――なんて、子どもじみた理由かな。はは」


『冒険』って言葉を大上段に言うのは、ちょっと気恥しいな。


「そんなことはない」


 スミレがぶんぶんと首を振った。


「夢は、大事。生きる喜びと活力をくれる」

「そうか……」

「とても、大事」

「そうだな」


 真剣な目で語るスミレに、俺はにっこりとうなずいた。


 四十を過ぎた俺だけど、まだまだ人生これからだ。

『冒険』にときめいたり、楽しんでもいいんだ。

 きっと――。


「あたし、ロメロのお手伝いをしたい。しもべとして」

「いや、しもべっていうのは」

「そして、冒険者の仲間として」

「……仲間、か」


 それなら歓迎だ。




 里長の話は進む。


「鍵は――帝国に文献があるようですな」

「今度は帝国か……で、どの帝国なんです?」

「中央大陸――キリア帝国ですね」

「キリアって……じゃあ、また戻ればいいんだな」


 よし、次の行き先が決まったぞ。


「スミレ、俺は中央大陸に戻る。君はどうする?」

「当然、ロメロと一緒」


 スミレが言った。

「あたしはロメロのしもべ」

「しもべ!?」


 里長が驚いた顔をする。


「そういえば、さっきもしもべとか言っていましたな」

「あ、いや、その……」


 俺は慌てて両手を振った。


 まだ十代の女の子をしもべにしているなど、第三者から見たら犯罪的な話ではないだろうか。

 心なしか、里長の俺を見る目が冷たくなった気がするぞ……!


「違うんです! これにはわけが!」

「なるほど。お仕えする相手ができたわけですか。それはいい」

「えっ」


 意外に好意的な反応が返ってきた。


 さっき冷たい目をしたと思ったのは、俺の気のせいだったのか。

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