6 里長の屋敷

 俺はスミレに案内され、大きな屋敷にやって来た。


 俗に言う『忍者屋敷』というやつだ。

 内部にはさまざまなカラクリが施されているらしい。


 不審者が下手に侵入すると、カラクリの罠によって即殺されるんだとか。


「けっこう怖いな、それ……」

「正規のルートから入れば、危険はゼロ」


 と、スミレ。


「まあ、家だもんな。普通に暮らす分には死ぬような危険は」


 ごうんっ!


 問答無用で爆撃が俺を直撃した。


「――って、話が違うぞ、スミレ!?」

「久々に帰ってきたから手順を間違えた」


 スミレがぺろりと舌を出す。


「ロメロなら絶対平気だろうから……油断した」

「まあ、そうだけど」

「ごめんなさい」


 スミレがぺこりと頭を下げた。


「いや、怒ってるわけじゃない。びっくりしただけだ」

「よかった。主としてあたしに罰を与えても構わない。えっちなこととか」

「いや、しないから!」




 さらに屋敷内を進み、俺とスミレは一人の老人に迎え入れられた。


 この人が里長か。

 年齢は七十を超えているそうだが、生気にあふれて、年齢よりずっと若く見える。

 体つきもがっしりとしていた。


 まだまだ現役、という雰囲気だ。


「おお、あなた様が新たな『超越者』――ようこそおいでくださいました……!」


 里長が俺を見て、深々と一礼した。


「スミレもよく帰ってきたな」

「ただいま。じいじ」


 スミレがぺこりと頭を下げる。

 里長はその頭をわしゃわしゃした。


「もう。子ども扱いしない」


 スミレが少し拗ねる。

 やっぱり可愛いな。


 同時に、あどけない笑顔を見ていると、さっきのキスに罪悪感を覚えてしまう。


 いくら不意打ちとはいえ、十代半ばくらいの女の子と唇を重ねてしまったんだよな……。


「すでに話は聞いております。『超越者』関連で聞きたいことがあるとか」

「ええ。さっそくですけど――俺は『世界の最果て』を目指しています」


 俺は里長に相談した。


「ただ、そこに行こうとしても謎の力に阻まれてしまうんです。なんとか『世界の最果て』まで行く道はないかと、ここを訪ねた次第でして」

「なるほど……『超越者』が生まれた場所、ですか」

「えっ」

「そういった伝承があるのです。『世界の最果て』で『超越者』の力が生まれた――と。かつての『超越者』コノハ様自らが伝えております」

「この力が生まれた場所――か」


 ますます興味が出てきた。


「まずは伝承をお聞かせしましょう。それと――コノハ様のことを記録したものをお見せします」

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