3 ヤマタノオロチ2

「【凍り付け】」


 とりあえず凍らせれば爆発しないだろう。

 俺の思念を受けて、ヤマタノオロチは氷像と化した。


「なんだ、簡単じゃないか――」


 思ったのもつかの間、一瞬でその氷が砕け散る。

 いや――。


「そもそも、凍らないんだな……」

「ヤマタノオロチは【対氷耐性】の特性を持ってる。だから凍らせられない」

「まあ、そんな簡単に倒せるんなら、500年前に倒せてるよな」


 だとすれば、どうするか――。


 ヤマタノオロチは俺たちを見上げ、


 ごううううっ!


 火炎の玉を吐き出してきた。


「【消火】」


 それらを思念で消し去る俺。

 が、ヤマタノオロチは次弾を放つ構えだ。


「……このままだと集中力がきついな」


 俺の思念具現化は、相応の集中力を消耗する。

 長期戦になれば【リアライズ】の精度が落ちたり、発動までに時間がかかるようになるかもしれない。


「その前になんとかしないとな……」

「やっぱりコノハ様も無理だったし、いくらロメロでも無理かも……」


 スミレが険しい表情を浮かべる。


「……ん? コノハ様――か」


 彼女のつぶやきにハッとなった。

 考えてみれば、簡単なことだ。


 だけど――たぶん、これは俺にできて、コノハにはできないこと。


「どうしたの、ロメロ?」

「一つ試したいことがある」


 俺は空中を移動し、ヤマタノオロチの正面に構えた。


 そこでいったん降下する。


 飛行したままだと、そっちに集中力のリソースを割かなきゃいけなくなるからな。


 これからやることの成功率を上げるためには、思念をそれだけに絞りたい。


 ぐるるる……。


 オロチが威嚇するようにうなる。


「お前、コノハに封印されてたんだよな?」


 俺の方はニヤリと笑い、集中力を高めていた。


【リアライズ】の発動に必要なものは、鮮明なイメージだ。

 コノハはそれを必死で練り上げ、こいつを封印した。


 けど、俺は違う。

 こいつが封印されていたという事実を知っているから、簡単にイメージできる。


 こいつが封印されている状態を。


「【封印】」


 唱えると、ヤマタノオロチは光の檻に捕らわれた。


「イメージは引き継げる。コノハが必死で作ったものがあるから、俺は簡単にイメージを作れた」


 右手を突き出す。


「この状態のお前ならどうにでもできるな」

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