第6章 東方大陸到着編

1 東方大陸、到着

 翌日、俺たちは『海神の宮殿』を後にした。


 昨夜、女神と何があったのかは――まあ、想像に任せるってことで。

 いや、それにしても気持ちよかった……。


 ――って、そうじゃない、意識を飛行に集中しよう。


 俺は現在、スミレとともに空を飛んでいる。

 ふたたび東方大陸を目指しているのだ。


「ロメロ、あの女神と何かあった?」

「えっ」


 ぎくり、とする。


「じー」

「な、何もないぞ……?」


 スミレに凝視され、思わず目が泳いでしまった。


「じー」

「い、いや、だから何もないって」


 ますます目が泳ぐ俺。

 なんかスミレの追及が厳しいぞ……?


「……ちょっと嫉妬」

「えっ」


 スミレがぷうっと頬を膨らませている。


 嫉妬っていうか、拗ねてるような表情。

 なんだか、可愛らしい。




 ――さらに飛び続け、俺たちは海を越えた。


「東方に着いたぞ。そろそろ細かい指示をもらったほうがいいのか?」

「すぴー……」

「……って、寝てるし」


 俺にしがみついたまま、スミレは寝入っていた。


 さすがにS級だけあって、腕を離して落下するようなことはないか。

 とはいえ、万が一ってこともあるよな。


 俺はいったん適当な場所に着地することにした。




 ぎおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!




 ものすごい雄たけびが、遠くから聞こえる。


「なんだ――?」


 俺は目を凝らした。


 前方の台地に巨大なシルエットが見えた。

 距離が遠すぎるために、その大きさが測りづらいものの――とんでもなく巨大なモンスターに見える。


「あれは、まさか」


 スミレが言った。


「起きてたのか?」

「今さっき」

「……口元にヨダレついてるぞ」

「じゅるり」


 スミレは手の甲でぬぐった。


「あれは、まさか」


 わざわざ、さっきのセリフを言いなおすスミレ。


「ヤマタノオロチ――」


 ……到着早々に、また厄介ごとの予感がした。

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